あの大フィーバーからもう数年経ちました
2015年10月から通知が始まった「マイナンバー(個人番号)」。国民一人ひとりが持つ12桁の番号のことで、生まれてから死ぬまで、文字どおり一生付き合う番号だ。「行政の効率化」、「国民の利便性の向上」、「公平・公正な社会の実現」というメリットを実現するために始まったこの制度は、日本全国すべての人に通知することがニュースになり、マイナンバーカード(顔写真がついたICチップ入りのカード)発行に長蛇の列ができる様子がテレビでもよく放送された。
あれから時間は流れたが、あまり利用機会に恵まれないマイナンバーカード。最近になって、会社勤めの方には総務部門から「マイナンバーを教えてください」という通達が届いたり、個人事業主なら確定申告の用紙にマイナンバー記入欄ができたりと、少しずつ関わりが出てきた程度で、実のところ「うぉ〜! すげー便利!」な場面になかなか出合っていない人が多いのではないだろうか?
正直これってどうなの? という雰囲気を漂わせていたマイナンバーだが、いよいよ政府主導でビッグなサービスがスタートを切るようだ。それが、今回ご紹介する「マイナポータル」だ。「マイナンバー」の「ポータルサイト」だから「マイナポータル」。そのうち「それはマイポを使えばOKだよ」みたいに、一般的な言葉として認識されるようになるかもしれない。それくらい、暮らしに密着したサービスとして期待が寄せられているのだ。
公的機関が持つあなたの個人情報を一元管理
市役所に出かけて、いろいろな窓口に行くたびにさまざまな申請書に記入をして、本人確認の書類を提出。挙句の果てには「戸籍謄本にある旧字体の名前でないと申請を受け付けられません」的なドライなひと言を投げつけられ、発狂寸前になった経験はないだろうか?(筆者はあります!)
これからマイナポータルが実現しようとしているのは、煩雑で複雑でメンドーなお役所絡みの手続きを簡略化すること。政府が運営するオンラインサービスであり、たとえば、子育てに関する行政手続きがワンストップでできたり、行政からのお知らせが自動的に届いたりする。以前、当欄に掲載した「電子私書箱」もマイナポータルが提供するサービスのひとつだ。
下図は政府が予告している提供予定サービスの一覧だ。今まで行政の窓口に出掛けて、長時間待たされたあんなことやこんなことが、自宅でコーヒーカップ片手にクリック操作で完了するなんて、素晴らしいじゃありませんか!
内閣官房サイトより
便利になるからこそ、マイナンバーカードの管理は超慎重に
世の中の多くの企業・団体が持っている個人情報は、それぞれが独自に顧客情報の改廃や漏洩防止の取り組みなどを行っている。当然時間も手間もかかるわけで、そのコストたるや膨大だ。将来マイナンバーの利用が民間に拡大すれば、こうした負担がなくなる。それは企業・団体にとってメリットであることに間違いはない。利用者である私たちにとっても、サービス別につくっているID/PWを管理する煩わしさから解放されるし、情報を共有してくれるなら個別の手続きもきっと簡略化される。いろいろな申し込み手続きがマイナポータルに集約されていけば、そりゃ便利に決まっている。
さて、そんな期待が膨らむマイナポータルへのアクセス方法だが、自宅パソコンを利用する場合は、マイナンバーカードとICカードリーダーが必須だ。リーダーにマイナンバーカードを乗せて、パスワードを入力する。今のところ、マイナポータルのシステム的にはマイナンバーそのものをパソコンに入力することはない。ということで、マイナンバーカードは「絶対なくしてはいけない」存在になる。これはパスポートや免許証と同じだ。
内閣官房サイトより
もちろん、紛失したら利用停止はできるし、再発行も可能。でも、きっと、絶対、再発行手続きはメンドーくさい! 気がする! ・・・・・・これでは、結局マイナポータル前の状況と同じことになってしまう。読者の皆様におかれましては、くれぐれもマイナンバーカードの紛失には気をつけて、マイナポータルを有効活用していただきたい次第である。最後になったが、マイナポータルのサービスインは2017年7月が予定されている。
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