スーパーコンピューター(スパコン)は、大規模コンピューターシステムの中でも膨大な演算の量をこなすことができるもの。自然科学分野での研究で複雑なデータ処理を行う場合、あるいは、自動車や航空機のメーカーが安全などに関する分析・検証を行うために利用される場合が多い。
日本で最も知られているスパコンといえば、理化学研究所と富士通が開発した「京(けい)」ではないだろうか。京は、浮動小数点演算を1秒あたり1京回(京は兆の1万倍)こなす計算能力がある。浮動小数点演算とは、指数計算の際に小数点を固定しない、コンピューター特有の演算方式のこと。例えば、Excelを使って「1230」と打ち込んだセルの表示設定を「指数」にすると、1.23E+03と表示される(右図参照)。これは、浮動小数点数の一例といえる。
スパコンには、最先端の技術と巨額の資金が投入され、開発する国の力を示す側面もある。欧米の研究者を中心に作成される「Top500」というスパコンのランキングが半年ごとに発表されており、京は2011年、上・下半期に世界1位となったが、現在は4位。2014年上半期のトップは中国の「天河2号」となっている(天河は「天の川」の意味)。なお、京のほかにも日本製スパコンがランクインしており、FX10(36位、東京大/富士通)、QUARTETTO(37位、九州大/日立/富士通)などが上位に位置する。また、東京工業大学で稼働しているTSUBAME2.5は、プロジェクトに日米のメーカー(NEC、ヒューレット・パッカード。以前のバージョンではサン・マイクロシステムズも)が参画しており、同ランキングで13位に入っている。
企業などを対象にスパコンを開放する場合もあるが、必ずしも最高性能を発揮できる状態で、なおかつ長時間、利用できるわけではない。そのため、インターネット・イントラネットに接続している多数のパソコンを同時運用することで、スパコンの代替とする場合もある。中でも、地球外生命体を発見しようと試みた「SETI @home」プロジェクトが有名だ。宇宙から届く大量の電波の中に、宇宙人が発信したものはないかを探すものだが、この分析のためにスパコン並みの性能を持つコンピューターが必要とされた。しかし、費用の捻出が困難であったことや、「ボランティア・コンピューティング」という概念を定着させることを目的に、インターネットに接続するパソコンであれば誰でも参加できるプロジェクトとしてスタート。最終的に参加者数は、500万アカウントを超える大規模なものとなった。
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