「衛星携帯電話」と聞くと、存在は知っているが見たことはない、という人が多いのではないだろうか。通常の衛星電話は専用の機材を用意しなければならないため、利用するのは紛争地帯を取材するジャーナリストや離島・へき地の気象観測員など、通常の携帯電話の電波が届かないところに赴く人が多い。
しかし、普通のスマートフォンを衛星電話として利用できる製品がこの度登場した。12月5日に発売されたモバイルルーター「イリジウムGO!」で、これとスマホを接続すれば、通話だけでなく、データ通信も可能となっている。
電波の届きにくい海や山など、アウトドアシーンでの活用はもちろん、災害発生時の連絡手段としての利用も想定。そのため、防水・防塵仕様となっており、アメリカ国防総省による規格「MIL-STD-810F」(温度試験・衝撃試験などに製品が耐えられるかをテストする)に準拠した耐久性も兼ね備えている。まさに、緊急事態でも頼りになるモバイルルーターといえるだろう。
使い方は、スマホやタブレットに専用アプリをインストールした上で、「イリジウムGO!」のアンテナを屋外の開けた場所(空がよく見通せる場所)に置く。そして、スマートフォン、タブレットとルーターを接続するだけ。心理的に緊迫している場面でも使用するデバイスだけに、この手軽さは大きなポイントといえよう。
なお、料金は使用契約料金=1万円、月額基本料金=5000円。通信料は、一般の固定電話・携帯電話あての発信で63円/20秒となっている。高額なイメージのある衛星電話の料金としては低めの価格設定と感じる人もいるようで、ネット上では「こんな値段で衛星携帯が利用できる時代なのか」といった声もあった。(端末料金はオープン価格)
また、イリジウムGO!を販売するのはKDDIだが、au以外のスマートフォンでも利用可能だ。万が一の事態に備えたい会社、あるいは、消防団などのボランティア組織にとって、1台持っていると安心できるデバイスといえるのではないだろうか。
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