School busses By Simon Schoeters(CC BY)
※画像は、サルトン・シティのバスと同型のカリフォルニアで使用されているスクールバス
世界各国の都市で、観光客誘致のため、市民サービスの向上のため、そして情報格差の解消のために、公の予算が投じられてWi-Fiインフラの整備が加速している。設置場所は市役所や図書館、博物館、空港、駅、ショッピングモール、学校、公園、ホテルなど多岐にわたり、徐々に列車や地下鉄、バス、航空機、船舶など動く乗り物にも浸透し始めている。
カリフォルニア州南端の、メキシコ国境から65マイルほど北にあるサルトン・シティでのWi-Fiインフラ整備の取り組みは、スクールバスを活用したものだ。2013年秋に導入されたWi-Fi対応バスでは、Wi-Fiルーターがフロントガラスとルームミラーの間の空間に設置されている。生徒たちは、ネットを使うために学校に居残らなくても帰りのバスの中で宿題ができるようになるし、遅い時間に親に迎えに来てもらう心配をしなくても済むというわけだ。
夜になると、スクールバスはWi-Fiホットスポットに変身する。バスの運転手がスクールバスを郊外のトレーラーハウス用駐車場に停めると、自宅に戻ってもネットが使えない生徒たちが、バスの近くに集まってくる。
ここは同州の中でも豊かとはいえない地域で、生徒の9割は無料または割引の学校給食を受ける資格があり、子どもたちの多くはスクールバスに揺られて片道1時間以上かけて通学している。連邦施策の予算を活用して、2013年には生徒1人に1台のタブレットが支給されたが、自宅に高速インターネット環境が整っていないため学校でしか利用できないという生徒も多い。生徒たちはスクールバスのルーターのバッテリーが持つ間、平均すると毎晩1時間程度はネットにつながることができるようになる。
格差解消の取り組みは始まったばかりで、現在、同地区の90台のスクールバスのうち、Wi-Fi設備が導入されたのはまだ2台にすぎない。90台すべてのバスに整備するには約29万ドルの追加予算が必要になると試算されている。
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