最近話題になるドローンは、4つのローターを持つクワッドコプター型が多いが、DAx8 RC UAV(以下、DAx8)は8つのローターを持つマルチロータードローンで、上から見ると全体はほぼ八角形をしており、そこに8つの穴が開いているというユニークなデザインになっている。
直径は約1.2mとやや大きめだが、抜群の飛行安定性を持ち、安全性を確保しながら大きな荷物を運ぶこともできる。荷物を運ぶというと、Amazonのドローンを使った無人配達サービス「Amazon Prime Air」構想を思い出すが、開発を手掛けているDrone America社によると、DAx8の主な目的は救助活動の支援ツールとしての活用で、川の増水で取り残されたり、崖の下に落ちるなど、救助活動が難しい事故現場に、迅速に救命器具や医薬品を届けられるようになるという。カーボンファイバー製の頑丈で軽量な本体は、最大で約2kgの荷物を搬送し、最高で900mの高度まで飛び上がることができ、最長で39分間飛び続けられる。本体には昼夜で使えるビデオカメラも搭載され、現場状況もリアルタイムに把握できるので、より適切な救助が行えるとしている。
人命にも関わる現場で使うため、コントロールシステムは一般向けのドローンとは異なる高度なものが採用されており、操作はモバイルPCから行う。ベースはAirewareが開発しているドローン用オペレーションシステムで、サイトの資料写真ではアウトドア仕様タブレットとして知られるパナソニックのTOUGHPADがオプションツールとして掲載されている。GPSガイダンス、自動安定航行機能、マルチウェイポイントナビゲーション機能を搭載し、製品紹介ビデオを見る限りでは、狭い室内でも安定した飛行性を発揮しているのが分かる。
Drone America社では、商用、工業用向けUAV(小型の無人航空機)の開発を手掛けており、DAx8にも偵察機としても十分に活用できるISR(情報・監視・偵察)アプリケーションが搭載されている。そこで、アメリカのネバダ州にあるリノ市では、警察の捜査活動ツールとしてDAx8を採用するための共同開発を始めたと2014年7月に発表している。警察が無人偵察機を持つことはプライバシーの侵害にあたるのではという声もあるが、そうした用途には使用しないことをあらためて明示し、その上でFAA(アメリカ連邦航空局)の法規制内でDAx8を活用できるよう調整が進められているという。
ここで前例ができれば、警察犬に代わる警官のパートナーとしてドローンが活躍するという、まるでSFドラマのようなシーンが近い将来当たり前になるかもしれない。
スペック
サイズ:直径1228mm × 高さ200mm
総重量:3.843kg
最高飛行速度:時速45km
飛行時間:39分
操縦システム:タブレットPC向けAireware製ドローン用オペレーションシステム
その他の機能:GPS、位置情報トラッキング、自動飛行・着陸機能、低空飛行でのマッピング機能