帰り道にスマートフォン経由で自宅のエアコンのスイッチをONにすれば、家に到着する頃には部屋が快適な室温になっている――。ひと昔前までは夢の未来のように思われていたことが、身の回りのさまざまな機器がインターネットに接続され、スマートフォンなどと連動したことで可能になった。そして今、医療分野にもその波が押し寄せている。
Smartheart Japan株式会社が手掛ける個人用ポータブル心電計「smartheart」は、手のひらサイズの心電計をスマートフォンとBluetoothを介して連携することで、どこでも素早く心電図を計測できるというスマートな医療機器だ。
心電図の計測には、医療機関が使用している心電計と同様に、複数箇所から測定する「12誘導心電図」と呼ばれるものを採用し、自宅に居ながらにして精度の高い測定を実現。スマートフォンに入れた専用アプリで計測データを閲覧・保存ができ、かかりつけ医に転送することも可能だという。
さらに、フィードバックサービスを利用すれば、開発元であるイスラエルのSHL Telemedicine社の遠隔医療センターからデータ解析やアドバイスなどを24時間サポートのもと、5分から10分ほどの待ち時間で受け取ることができるという。具体的には「大至急かかりつけの医師にご相談ください」「救急車をお呼びください」などのメッセージが表示され、迅速な処置を呼びかける。
同社はこうした個人向け遠隔医療サポート分野の先駆けで、すでに世界5カ国でサービスを展開し、延べ100万人以上にサービスを提供してきた。とはいえ、日本ではまだまだ浸透していないサービスゆえに、その利便性は未知数だ。同機器によってどのようなメリットがあるのだろうか? Smartheart Japan株式会社の製品担当・三橋奈津子氏に聞いた。
「まず救急車を呼ぶか否かの判断を迅速にできる点です。中でも心臓病は時間が勝負といわれており、早期の対応が生存率を高めることになります。さらに病院到着後に、発祥時の心電図データが記録してあれば、口頭よりも正確かつ詳細な病状を医師に伝えることができます。海外では普及しているサービスだけに、日本においても浸透することで多くの命を救う一助になれればと思っています」
テクノロジーの進展は、遠隔医療サポートをはじめ、医者がいないなどの理由で医療体制が不十分な離島・僻地医療においても活躍できる可能性を秘めている。遠隔医療サポート体制の普及が、日本の医療を救うかもしれない。
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