政府の成長戦略にも掲げられる「女性の活躍推進」。さまざまな企業、業界で、積極的な女性の管理職登用や、子を持つ”お母さん”でも働きやすい環境づくりを行うといった試みが続けられている。
では、今後もさらに成長していくであろうIT業界では、どのように女性が活躍しているのだろうか?
「大手システムインテグレーター(システムの開発を請け負う企業)の方から伺った話ですが、海外企業と取引しようとすると、『女性管理職の割合』の高さが取引条件の1つとなる場合もあるようです。そうなると、企業としても積極的に女性を指導的地位に登用していくことにつながりますよね。以上の事例のように、IT業界で女性が活躍する場が広がっていると感じる機会は、多々あります」
そう話すのは、株式会社アルバイトタイムスの金子正実・東京営業部部長。同社は昨年12月、IT業界に特化した女性向け求人サイト「ベティ」をオープンした。
アルバイトタイムス・東京営業部部長の金子正実さん
「現在の有効求人倍率は1.17倍ですが、IT業界に限ってみると4〜5倍ほどの数字になっているんです。つまり、ほかの業界と比べると圧倒的に人手不足ということ。とはいえ、多くの男性がすでに何らかの職に就いているという中では、必要とされるだけの労働力を確保できない。そこで、子育てが一段落した、さらなるキャリアアップを目指す、などと考える女性の方にIT業界で活躍していただければとの思いから、『ベティ』をオープンしたわけです」(金子さん、以下同)
大手企業や中小企業、あるいはスタートアップ企業にかかわらず、さらなる人材が必要とされているIT業界。ベティは、IT企業であれば特に求人する職種を限定せず、エンジニア、デザイナーはもちろん、営業や受付事務などさまざまな求人情報が掲載されている。
ところで、現在は事務など別分野の仕事をしているが、本当はWEBデザインをやってみたいと考える女性もいるかもしれない。そんな未経験者でも、IT業界でデザインの世界に飛び込むことは、可能なのだろうか?
「申し上げたとおり、IT企業はどこも人材不足。もちろん、『経験2年以上』というような求人もありますが、『未経験でも採用して、きちんと育てたい』と考える企業が多いと感じます。他業種・他職種から転職されるとしても、決してハードルが高いわけではありませんね」
一方、人材が不足していると、その分、働く人は激務になってしまうとも想像できる。そうした状況で、例えば、子育てを頑張る女性が家庭と仕事を両立することはできるのだろうか?
「たしかに不安を持つ方もいるかもしれませんが、法令による出産休暇、育児休暇はもちろん、時短勤務や変則勤務に応じる企業もよく見かけます。企業側は柔軟に対応していると思いますよ」
ベティには数多くの求人情報が掲載されているのはもちろん、「輝くリーダー」というコーナーで実際に転職経験のある女性へのインタビュー記事を掲載している
そんな企業が求める人材はというと、「チームワーク」や「コミュニケーション」などの能力が高い人なのだという。
「デザイナー、エンジニアなどの職種に限れば、こうした能力が求められる場合がほとんどといってもよいでしょう。というのも、仕事の進め方としてまずプロジェクトを組み、そしてチームで実行するというやり方が一般的。営業や事務はまた別の側面もあるのですが、クリエイティブ系の場合は応募要項にそれらの能力や人柄を明記する企業が多くなっています」
今後はより有意義なサイトにすべく、転職という枠組みにとどまらないコンテンツをベティで増やしていきたいと語る、金子さん。
最後に、「IT業界への転職を考える女性へ一言を」と尋ねると、次のように答えてくれた。
「IT業界は比較的、待遇が良い企業が多いのではないでしょうか。その理由はやはり、より多くの人材を欲しているから。また、意欲的な人には新たな仕事やポジションを与えてくれる企業がほとんどですので、IT業界でキャリア形成を図るというのは、非常に価値があることだと考えています」
『IT人材白書』(独立行政法人情報処理推進機構・編)によると、「従業員の女性比率は20%以上」と答えたIT企業は2010年には21.2%だったのに対し、2014年には30.7%にまで増えている。まだまだ発展の余地もあるITの世界。今後は、女性ならではの視点やアプローチから、新たなサービスなどが生み出されていくはずだ。
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