もともと、マッシュアップは「音の重ね合わせ」を意味する音楽用語だが、インターネット用語としてマッシュアップという場合は、Google Mapsの地図情報やAmazonの商品情報など、Web上で公開されているさまざまなサービスやコンテンツを組み合わせて、新しいサービスを提供することを指す。
グルメサイトなどで見かける、レストラン情報を検索すると同時に地図が表示されるサービスなどがマッシュアップの典型で、さまざまなユニークなマッシュアップ・サイトがすでに数多く登場している。例えば、Paboo(paboo.net)というサイトではAmazonと楽天の商品情報が同一画面で比較できる。Amazonと楽天の情報サービスをマッシュアップしたというわけだ。
こうしたWebサービスが注目を集めるようになった背景には、GoogleやYouTube、AmazonといったいわゆるWeb2.0企業が、自社のWebサービスの情報を無償提供したことが挙げられる。各Webからマッシュアップのための情報を取得するプログラムのことをAPIというが、Googleなど各社が自サイトのAPIを無償で公開しているのである。
ちなみに音楽用語でのマッシュアップとは、複数の曲の録音を重ねて、一つの曲にする手法のこと。ヒップホップやハウス・ミュージックでは1980年代から使われていた手法だが、日本でも、2006年に布袋寅泰とRIP SLYMEの曲をマッシュアップしたシングル「BATTLE FUNKASTIC」が、CM曲にもなったことから知られるようになった。その後、2008年にネット・コミュニティで吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」を他の楽曲とマッシュアップすることが動画投稿サイトで人気となり、「IKZOブーム」に発展して、マッシュアップという言葉がより広く認知されるきっかけともなった。