インターネットに接続しているすべてのコンピューターには識別番号が振られている。それがIPアドレスというもの。いわば、データを送ったり送られたりするときの住所だと考えればよい。この住所の決め方や送受信の方法を取り決めたものがIP(インターネットプロトコル)。IPv6とは、これのバージョン6という意味である。
現在はバージョン4であるIPv4が世界中のコンピューターの住所を決めていて、これは3桁の数字(十進法で0〜255までの数字)のブロックが4つ並んだものとして表示される。例えば、「123.45.67.89」(0は省略されるので、045は45となる)という具合だ。「あれ? インターネットの住所はドメインじゃないの?」と首をかしげた人もいるかもしれない。ごもっとも。実は、正式な住所はこの数字の羅列のIPアドレスのほうであり、ドメインはいわば、住所を覚えやすくするためのニックネームなのだ。DNS(ドメインネームサーバー)という世界中に設置されているデータベースで、ドメインからIPアドレスへと変換されて、データが送受信されるというわけだ。
さて、このIPアドレスの枯渇という危機が、以前より問題となっていた。IPv4は、255までの数字4ブロックから成り立っているので、当然、数に限界がある。計算すれば、256×256×256×256=4294967296で、およそ43億個のアドレスしか準備できないことになる。人類の数がおよそ60億人だから、これでは一人ひとりに行き渡らない。スマートフォンの登場でさらにインターネット人口は増大しているのだから、いつかIPアドレスが不足して大変なことになるのは明らかだったのだ。
そこで、この枯渇問題を解決すべく新たに開発されたのがバージョン6、つまりIPv6というわけだ。住所は、次のように8ブロック4桁の16進数の数字で表される。
2001:c900:0ab0:0000:0000:1234:5678:0000
一目見て、当分枯渇しそうにないほどの数字の長さに見える。実際、何個の住所を用意できるかというと、約340兆×1兆×1兆個。これを日本語の数の単位で書き表すと、約340澗(かん=1036)個となる。ちなみに、単位を順番に書いていくと「一十百千万億兆京垓秭穣溝澗……」となるので、どれくらい巨大な数かが分かるだろう。
IPv6を利用するには、コンピューターやルータなどの機器が対応していなくてはならず、またISP(インターネット・サービス・プロバイダー)の対応も必要だ。パソコンはOSレベルで対応が進み、Windows VistaおよびWindows7以降では最初から対応済み。MacOSでは10.2から対応済みだ。
また、新しく開発されたIPなので、セキュリティー機能が標準で用意されていたり、IPv4では手動だったIPアドレス設定が自動で行われたりなど、多くの優れた特徴も備えている。現在、すでに一部でIPv6が使われているが、今後はIPv4に代わってどんどんIPv6が利用されていくことになるだろう。