営業職の女性たちが、より輝くために必要なものとは?
「新世代エイジョカレッジ」スケジュール
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7社の営業職女性が、自ら営業現場の課題を考え、経営層に提言する――そんな異業種合同プロジェクト「新世代エイジョカレッジ(エイカレ)」が、昨年11月、半年間の集大成である最終プレゼンを終えた。
KDDIに加え、サントリーホールディングス、リクルートホールディングス、キリン、日本アイ・ビー・エム、三井住友銀行、日産自動車の7社から集まった29人の「営業女子=エイジョ」たちは、昨年6月から約半年間のグループ活動を終え、何を思うのか。今回はKDDIからの参加者4人に、「新世代エイジョカレッジ」を通して考えた、営業女子としての「これまでと、これから」を尋ねた。
「どうして私がエイカレに?」と戸惑う中、他社参加メンバーとの合宿へ
「はじめは正直、どんな企画かも分からなくて。KDDIからの参加メンバーは全員が初対面でしたし、年次もバラバラです。でも、とりあえずやってみようと」。そう語るのは、コンシューマ営業本部のコンシューマ首都圏第一営業部の中山真紀。KDDIから参加した4人はそれぞれ、異業種7社からなる混成チームの一員となり、6月のキックオフ合宿に挑んだ。合宿では、おのおのの悩みを共有し、5つのチームが、これから検討する課題を決める。基調講演では、女性ロールモデルのアドバイスとして日本アイ・ビー・エムの執行役員、志済聡子氏からの激励もあった。
最終プレゼンの直後に産休に入った、ソリューション営業本部の金融営業部 小林千芳は、「エイカレ参加前は、出産後も営業を続けられるのか漠然とした不安を抱いていました。でも、子育てをしながら執行役員になられた志済聡子氏の講演をお聞きし、力をいただきました。また、エイカレで同世代の営業女性と議論を重ねる中で、自分のキャリアについて真剣に向き合うことができ、そこから少しずつ、出産後復帰した際の営業職でのキャリアについて向き合い、前向きに考えるようになったと思います」と言う。
KDDIコンシューマ首都圏第一営業部の中山真紀
KDDI ソリューション営業本部 金融営業部の小林千芳
講師からの問いかけ「なぜ?」を100回繰り返して見えてきたもの
KDDIソリューション営業本部 営業3部の佐々木志貴
キックオフ合宿から11月の最終プレゼンまでの半年間、講師としてメンバーを指導したのは、「変革」デザイナーとして活躍する佐々木裕子氏。漠然とした仕事の悩みを訴える営業女子=エイジョたちに、「なぜそれが不安なの?」「どうしてそう思っているの?」と問いかけてきた。佐々木講師の鋭い問いに、エイジョたちは曖昧な悩みを、徐々に言語化していった。
ソリューション営業本部 営業3部の佐々木志貴はこう述懐する。
「合宿の1日目は、チームの議論でも、『ロールモデルがいない』とか、『このまま営業を続けていく自信がない』など、不満を言うメンバーが多かったように思います。そんな私たちに対して、佐々木講師は、『それはなぜ?』『どうして?』と、本質的な問いを追求してこられました。今見えている表面的な不安を言い訳にせず、本当のところを考えようと。そこから、少し気持ちが変わっていきましたね。最初は、『女性管理職を増やしたい』という目標設定への抵抗も少しあったのですが、志済聡子氏のお話や、佐々木講師との対話を通して、前向きに進んでいけば、次の段階が自然と来て、その段階を超せば、また次の段階が来る、その積み重ねでキャリアができていく、と思えるようになりました」
7社が集まって驚いた「同じ営業でも、こんなに違う」
KDDIコンシューマ関西支社の中原沙樹子
異業種7社の営業女子が集まり、本音でキャリアについて話し合う。初めての機会に、大きな刺激を受けたメンバーもいる。関西地方の営業女子からなるチームに参加したコンシューマ営業本部 コンシューマ関西支社の中原沙樹子は、次のように語る。
「他社の営業職女性たちと話して、『同じ営業といっても、こんなに多様なんだ』と、驚きの連続でした。私は関西支社に勤務していて、当初は会社全体からみた自分の立ち位置も分からなかったですし、実力にも自信がありませんでした。この先、どうキャリアを築いていくのか、考える機会もなかったように思います。それが、同い年のメンバーが、すごく先の人生まで考えていることに驚いたり、『この悩みは一緒だね』と言い合ったりして、興味深かったですね。普段、他社の営業職女性と、ここまで本気で自分たちの将来像について話す機会はありません。これをきっかけに、他社の社員だけでなく、自社の上司と後輩とも、キャリアについて気軽に話せるようになりました」
「社内だけで話していると、どうしても視野が狭くなってしまいます。活動を通して、他社のワーキングマザーにインタビューしたり、同世代の働く女性のお話を聞いたりして、変わっていくことができたと思います」(小林)
中間プレゼンでは、マネジャー層からの厳しいアドバイスも
グループ討議の様子
中間報告会の様子
7月のチームアップミーティングを経て、各チームはそれぞれ、「営業で女性がさらに活躍するための提言」をまとめた。10月には、7社の部長層に向けて中間プレゼンを実施。
中山は、「私たちのチームは、『女であることを言い訳にしない』という内容のプレゼンをしたのですが、ある部長の方から『ネガティブ思考だね』と言われてしまって。深く考え抜けていなかったのだと思います。どこか、作られた意見のような感じでした。スイッチが入ったのは、この中間プレゼンからですね。バッサリやられたので、この際、私たちの本音をぶつけようと開き直りました。最終プレゼンまでの1カ月弱で、資料をすべて変更し、その間はメンバーで繰り返し、話し合いました」と、転機を語る。
他のチームも、週に1度は集まってミーティングを開くなど、提言内容を徹底して突き詰めた。「中間プレゼンでバッサリやられた」という中山のチームは、最終プレゼンで、どこでも仕事ができるよう7社のオフィスを共同利用する「サテライトオフィス」を提案。見事、最優秀チームに選ばれた。
「最終プレゼンの直前まで、提言のメインテーマが定まらなかったんです。やっぱりこれじゃない、これじゃない……と議論を重ねて、最終的に『サテライトオフィス』に決まりました。実は、お互いの会社の会議室を使ってミーティングをしてきたこともあって、私たちにも、品川や新宿に『サテライトオフィス』があったらなぁ、という『ぼやき』もあったんです」と、中山。
加えて、中山のチームにはワーキングマザーがいたことも、「サテライトオフィス」案のきっかけになったと言う。
「ワーキングマザーのメンバーが、『自分は17時半までしっかり働けるのに、周囲が気を使って、業務中に暇を持て余してしまう』と言っていたのも、発想の基になりました。業務時間いっぱい働けるけど、子どものお迎えの時間は動かせない……となったとき、もっと自由に働く時間を確保できたらいいなと。それで『サテライトオフィスがあったらいいね』という話になったのです」(中山)
プロジェクトへの参加で、自分なりの「頑張る方向」が見えてきた
「新世代エイジョカレッジ(エイカレ)」参加者と事務局メンバー
約半年にわたるプロジェクトが一段落した今、KDDIからの参加メンバーは確実に、自分の中の「変化」を感じている。
「社外の人にもインタビューしたり、メンバーで何度も話し合ったりするうちに、どんどん気持ちが上がっていったように思います。『自分はもっと頑張れるんだ、頑張れる方向があるんだ』と気づけたのが、1番の成果ですね。もっと前向きに働けると思うし、働きたい。その方向を、自分で見つけにいきたいと思うようになりました」(中原)
講師を務めた佐々木裕子氏
「業務の合間を縫って集まるのは大変でしたが、7社の営業女子で話し合って感じたのは、女性たちは優秀な戦力として、当たり前に現場で活躍し、期待されているということ。営業職は多忙なゆえに、バリバリやっていける人が残りがちですが、営業は現場でしか育たないと思っています。お客さまに誉められ、怒られ、一人前の営業になっていくと思いますので、現場で頑張っている『普通の営業女子』が結婚・妊娠などのライフイベントを迎えても、そのまま自然の流れで上を目指せるようになればいいですね」(佐々木)
「そういう、バリキャリではない、普通の営業女子の『母数』を増やすために、肩肘張らない私たちのようなエイジョが、仕事を続けていける制度があればいいなと。この気持ちは、全チームに共通していると思います」(中山)
半年間の講師を務めた佐々木裕子氏は、参加メンバーが得たものは、「希望」ではないかと語る。
「最初は皆、不安でいっぱいで、『本当に営業を続けられるのか』と感じているメンバーもいたと思います。なので、まずは自分たちが抱える悩みの本質に、とことん向き合ってもらいました。すると、途中からは、『ひょっとしたら、これは思い込みなんじゃないか』という機運が生まれて、最終プレゼンの日は、皆さん、もう明らかに『自分が変えられる』と思っていましたね。半年間で、メンバーが最も変わったのは『希望』です。『チームで経営層に提言する』という課題を通して、『ひょっとしたら、自分たちが変えられるかもしれない』という希望をもってもらえたと思います」
営業職としてのキャリアを「ジブンゴト」として捉え、真剣に向き合ったエイジョたち。彼女たちの、本当のスタートはこれからだ。
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