フットボールはいかつい防具やヘルメットからも分かるように、巨漢同士が激しくぶつかり合うスポーツ。当然、選手に怪我はつきものだ。そこでダートマス大学医学部ヒッチコック医療センター(ニューハンプシャー州)は、テレプレゼンス用ロボットのVGo(ヴィーゴー)を使ってカレッジ・フットボール選手の脳震とう対策を進めることができないかテストを行っている。試合や練習の都度、医師を1人、サイドラインで待機させる代わりにVGoを配置することで、病院やクリニックから遠隔で見てもらおうという試みだ。
VGoは、身長4フィート(約1.2m)のタイヤ走行ロボットで、顔の部分にはスクリーンとカメラが実装されている。フットボールの練習や試合の際にサイドラインを動きながら選手の動きをカメラで捉えて、離れた場所にいる医師に映像を送る。医師は現場のトレーナーに必要な指示を遠隔で与えることができる。ロボットの移動やカメラのズームなどは医師が遠隔操作する。
今のところはまだ研究フェーズで、課題は実際のフットボールの試合で選手たちをどうやってカメラ1台で追い掛けるか、ということだ。しかし、フットボールでうまくいけば、ホッケーやバスケットボールなど、多くの競技に応用できると期待されている。
VGoはこうした遠隔医療のほか、遠隔監視やテレビ会議などでの利用が期待されており、病気で学校に通えない児童が教室の授業に参加するといった用途も紹介されている。
著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)
NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。
参考情報(外部サイト)
ダートマス大学のニュースリリース
WELCOME TO THE CONCUSSION INDUSTRIAL COMPLEX
Sideline Robot Helps Trainers Spot Football Concussions
アスリートを守るウェアラブル脳震とうセンサー