4月24日、政府の地震調査委員会は「今後30年以内に、関東地方でマグニチュード6.8以上の地震が起こる確率は、50〜60%」であると発表した。東京をはじめ、政治、経済、社会など、さまざまな分野の中枢が集まる地域だけに、このニュースを見て不安を感じた人もいるのではないだろうか?
また、関東に限らずとも、日本は全国的に地震が多発する国。国内のどこに住んでいようとも、実際に大規模地震が発生した際、いかに被害を最小限に食い止めるかの心構えをし、平時から準備に努めることも必要だといえるだろう。
「ミサワパーク東京」に建てられた1棟のモデルハウス基礎部には、すでにGAINETが取り付けられている
ミサワホームとKDDIが共同開発したIoTプロダクト「GAINET」も、そんな大地震に対する備えの1つといえそうだ。どんなプロダクトかというと、「家」をインターネットと接続し、中〜大規模の地震発生直後に自宅の被災度を判定するものとなっている。4月22日には、東京・高井戸にあるミサワホームの住宅展示場「ミサワパーク東京」でGAINETの発表会が行われ、その内容が明らかにされた。
モデルハウスのキッチンに設置された「GAINET」の表示部(右奥)
GAINETは、住宅の基礎に取り付ける計測部と、震度・被災度を居住者に通知する表示部の、2つで構成。P波(第1波)を検出後、ただちに居住者に地震が発生したことを通知し、さらに家の基礎が傾く、歪む、などの被災があれば、計測部に備えられた3方向加速度センサーが感知、それも知らせる仕組みとなっている。また、KDDIのLTE回線によりクラウドサーバーと接続され、阪神大震災や東日本大震災のような大規模災害が発生した際には、建物ごとの緊急度に応じたオーナーサポート(復旧活動)が行われるという。個々の住宅レベルで被災度判定を行うIoTプロダクトは、GAINETが業界初の試みとなる。
しかし、なぜミサワホームとKDDIは、GAINETを共同開発するに至ったのだろうか?
液晶部分左上にはLTEの受信感度を表示。GAINETは全国的なLTE網があるからこそ、実現したシステムといえるだろう
「たとえば、ある地域の震度が『6強』と判定されたとしますよね。しかし、同じ地域内だとしても、地盤や立地状況によって建物の被災度はまったく変わってしまいます。そこで、大規模地震が発生したとき、建物のオーナー様それぞれに適した迅速な対応をするため、セキュア(安全、頑丈)なLTEネットワークを有するKDDIさんと手を組み、GAINETを開発しました」(向山孝美ミサワホーム商品開発部々長)
価格については未定としながらも「5年補償で10万円を切る方向で調整している」(田井宏樹ミサワホーム商品開発部々長)と可能な限り安価でオーナーに提供することを目指す。手軽なシステムで迅速に家の被災度を確認できるGAINETは、地震国・ニッポンならではのIoTプロダクトといえそうだ。
地震を再現する装置に取り付けられたGAINETの計測部(左)と表示部(右)。表示部は震度7の揺れであることを示している
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