デジタルカメラや携帯電話に挿して使う切手大サイズのメモリーカードは、皆さんもおなじみのはず。その多くが、おそらくSDHCメモリーカードという種類のもので、フラッシュメモリーというジャンルのなかの一製品である。
ハードディスクは円盤に塗られた磁性体に、DVDなどの光学ディスクは表面の記録層と呼ばれるところに記録するが、フラッシュメモリーは半導体に記録する。また、電気が通じていなくても、パソコンの内部メモリーであるRAMと違って記録はなくならないため、「不揮発性メモリー」とも呼ばれている。
小さくて薄く、とても便利なSDHCカード。これの”先代”にあたるのがSDカードで、見た目は同じだが、記憶容量が2GBまでだった。ところが、スマホやデジカメの写真が高画質になるにつれ、2GBでは容量が足りなくなってきた。そこで登場したのが、32GBまで大容量化させたSDHCメモリーカードなのだ。
さらに、デジカメのHD動画撮影機能に対応すべく、現在では、孫世代に当たるSDXCメモリーカードが登場。最大で512GBという大容量のものが市販されている。技術革新が進めば、このSDXCメモリーカードは2TBまでの超大容量化が可能とのこと。
最近では、近接無線転送技術「TransferJet」を搭載し、カメラに挿したまま、スマホなどの対応端末を近づけるだけでデータ転送ができるという、抜き差し不要のSDHCメモリーカードも登場。進化はやまないのだ。
さて、このSDHCメモリーカードの母ともいえるフラッシュメモリーを発明したのは、舛岡富士雄という日本人技術者だということはご存じだっただろうか。開発したのは桝岡さんが東芝社に在籍していた1980年、37歳のときのこと。桝岡さんは東北大学名誉教授として、いまも研究に打ち込んでいる。