ワイヤレスのマウスやキーボード、ヘッドセットなどでおなじみの、近距離無線通信技術のBluetooth。この拡張版として生まれたのが、Bluetooth Low Energy(以下、BLEと表記)だ。Low Energyの言葉どおり、対応チップは従来の3分の1程度の電力しか使わないので、ボタン電池一つで1〜2年ももつ。この省電力性のため、通信速度を犠牲にしたので映像や音楽のデータ送信には向かないが、そのぶんペアリングも高速で、スマートフォンなどと素早くつながり、BLEとの通信時はスマートフォンも省電力モードになるので、電池の消耗を気にしないで済むなど、多くの長所を持っている。
すでに、スマートフォンではiOS7、Android4.3から、PCではMacとWindows8.1以降でBLEに対応。ソフトウエアの開発がBluetoothよりも自由で簡単、また、安価であるため、すでにさまざまなBLEデバイスが登場している。
BLEでスマートフォンをコントロールできるようになったG-SHOCK「GB-5600B」
たとえば、カシオのG-SHOCKシリーズでは、BLEを用いてスマートフォンのコントロールを時計からできるようにした製品が登場。あたかも、G-SHOCKがスマートウォッチになったような感覚だ。
また、活動量計や歩数計などスポーツや健康関連のウエアラブル端末の多くもBLEを用いてスマートフォンやPCと接続している。自転車用ケイデンス(回転数)センサーや、スマートフォン紛失防止タグなどにもBLEが使われている。
au未来研究所とNew Balanceが共同開発したFUMMは、センサーとBLEを内蔵した子供向けの楽しいシューズ
KDDIのau未来研究所が、New Balanceと共同で開発した子ども用シューズのコンセプトモデルFUMM(フーム)も、靴の中にBLEを内蔵している。このFUMMを履いて歩く子どもの動作をセンサーで感知し、BLEを使ってお父さんやお母さんのスマートフォンに伝える。すると、対応アプリが子どもの動きに連動していろいろな音や言葉を発するという仕掛け。楽しい遊びとしてだけでなく、交通教育にも使えるなど、大きな可能性を秘めていると注目なのだ。
今後、BLE技術を用いたさまざまなデバイスやサービスが、次から次へと生まれてくることは確実。目が離せない。