スマートフォン等で体温を継続的に確認できる体温計、Fever Smart(Kip Solutions)
ペンシルベニア大学の学生、Collin Hill氏らが開発した「フィーバースマート(FeverSmart)」は、頻繁に体温を測る必要がある人に役立つ体温計だ。2年前、ホジキンリンパ腫の治療のために化学療法を受けていたHill氏は、一日に何度も体温を測る必要があった。ある日、いつものように寝る前に測った時には平熱だったのに、数時間後に高熱を発してER(救急救命室)に運ばれてしまったという。この時の経験がフィーバースマートを生み出した。
アメリカでは口にくわえる体温計がよく利用されているが、常時、何かを口に入れておくのは不可能だ。フィーバースマートは、腋の下に温度センサーを貼りつけて体温を測定し、Bluetoothでスマートフォンなどにデータを送信、さらにクラウドにも格納する。Bluetoothが届く範囲に中継できるデバイスがあれば、どこからでも体温を確認することができ、変化があればプッシュ通知もできる。Indiegogoでの資金調達に成功しており、12月に出荷予定だ。
フィーバースマートの筐体は丸みを帯びていて、サイズは51.9×31.6×6.5mm、重さ8.6グラムと軽い。装着して違和感がない厚みとはいえないが、寝ている子どもの体温を測らなくてはいけない親にとっては大助かりだろう。検温のために子どもをいちいち起こしたり、寝ている子の腋の下に体温計を当てることを思えば、寝る前にフィーバースマートを装着するのは、よりスマートな計測方法といえそうだ。それに、継続的に体温を計測できるので、突然、高熱が出た場合にも、すぐに気づくことができる。
スマートフォンを使った体温計といえば、1年半ほど前にKinsaというベンチャーが口にくわえるタイプのものを発表している。Kinsaの製品は、従来の体温計と同じで連続した計測はできない。常に測るということでは、スマートウォッチなど腕時計型の最近のウエアラブル機器の中には温度を測る機能を持っているものもあるが、これらはいわゆる皮膚温度の計測で、口の中や腋の下で測る体温とは異なる点が課題だ。
フィーバースマートでさまざまな年齢層の人の体温の変化を連続的に捉えた結果が数多く集まれば、疫学などの知見にも貢献するだろう。製薬会社などがこのデータに意味を見いだし買ってくれれば、フィーバースマートの価格を下げることができる可能性もあるだろう。
著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)
NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。
参考情報(外部サイト)
FeverSmartのウェブサイト
IndiegogoのFeverSmartのページ
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