クルマがインターネットにつながったら
このところ、自動車業界では「つながるクルマ(コネクティッド・カー)」という言葉があちこちで盛んに聞かれる。
2016年1月に米国ラスベガスで開催された世界最大の家電展示会「CES 2016」には「モーターショーか!?」といわれるほど多くの自動車メーカーが参加したが、展示の大多数がこの「つながるクルマ」関連だった。
また同時期、このCESに合わせるように、トヨタ自動車が「クルマの『つながる』化を積極的に推進します」というビジョンを発表した。
いったい、クルマはなににつながるというのだろう。それは無線通信ネットワークであり、インターネットだ。では、クルマがネットにつながると、クルマはどんなふうに変わるのだろうか。
たとえば、トヨタ自動車が発表したビジョンでは、アメリカでの2017年以降のモデルの切り替えから、全車にデータ・コミュニケーション・モジュールという通信機が搭載され、常時、トヨタのサーバーと通信できるようになる。すると、たとえば事故発生時にエアバックが開くと、その情報がサーバーに送られ、センターからオペレーターがドライバーに話しかけることができるようになるという。
ほかにも、常に最新版の地図に自動更新されたり、センサーがクルマの不具合を発見するとただちにトヨタのサーバーに報告してくれるなど、さまざまなサービスが享受できるようになる。すでに2013年にトヨタが発表している「ユビキタス・モビリティ・ソサエティ」というアニメでは、そんな未来の「つながるクルマ」の姿がわかりやすく描かれている。
もちろん、トヨタ以外の自動車メーカーも、さまざまな「つながる」クルマを構想している。たとえば日産自動車は、GPSで取得した位置から人工知能が近場の美味しい飲食店などのお店をガイドしたり、ドライバーの運転のクセをセンサーが感知してサーバーに送り、これまた人工知能が学習してブレーキやアクセルの利かせ方をリアルタイムにチューニングするような技術などを開発中だ。
究極の「つながるクルマ」は完全自動運転車
一方、世界的な自動車部品メーカーのボッシュや、名だたるIT企業などが取り組んでいるのは、クルマのネットワーク化だ。
さまざまなセンサーやカメラを搭載したクルマ同士がつながったとき、それは巨大なセンサーのネットワークとなり、つながっているすべてのクルマの走行位置を含んだ、リアルタイムの情報であふれた道路地図が手に入るのだ。
そこから得られた道路についての膨大なデータから、渋滞に巻き込まれない最も効率の良いルートの情報などをドライバーは受け取ることができるし、また交差点での出会い頭の衝突などの交通事故の予防にもつながるのだ。
クルマの「つながる」化によって蓄積されることになるビッグデータは、将来の完全自動運転のための緻密なデジタルマップづくりに生かされる。そう、究極の「つながるクルマ」とは、完全自動運転のクルマのことでもあるのだ。
2020年ごろまでには、高速道路を自動運転できるクルマが、そして2020年代後半には市街路でも大丈夫な完全自動運転のクルマが市販されるだろうといわれている。もうすぐじゃないか!!
「CarPlay」と「Android Auto」で未来先取り気分
さて、今すぐ手に入れられるクルマの「つながる」化がある。それは、Appleの「CarPlay」とGoogleの「Android Auto」だ。どちらも、iPhoneやAndroid端末を車載ディスプレイに接続して、スマホの機能を車内で安全に使えるようにするというものだ。
Appleの「CarPlay」とGoogleの「Android Auto」については、それぞれの専用WEBサイトで詳しく知ることができる
多くのメーカーの車種が対応しているので、あなたのクルマもスマホをつなげるだけですぐに使えるかもしれない。車載ディスプレイがまるでスマホの画面のようになり、マップから音楽、通話まで、とても快適に使えてしまう。未来の「つながるクルマ」気分をひと足早く味わってみてはいかがだろう。
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