提供:Ori – www.orisystems
朝、目覚めてからシャワーを浴びているあいだにベッドルームがダイニングになり、出勤してから部屋に戻ると、今度はリラックスできるリビングルームが用意されている……ワンルームなのに2LDKに住んでいるような快適さを手に入れられる、新しい発想の住宅がアメリカで開発されている。
MITメディアラボで開発を進めていたIoT住宅「CityHome」は、便利な都心部でより多くの人たちが快適で効率良く生活できる”スマートシティ”を実現するために開発された技術のひとつで、わずか200平方フィート(約18平米/10畳)の部屋を機能的に過ごせるように工夫されている。ソファやテーブル、ベッド、システムキッチンなどにロボットを動かす高機能のモーターやセンサーを組み込むことで、舞台セットの場面転換のように用途にあわせて部屋のレイアウトを自動でトランスフォームできるようになっている。
レイアウトは住人の好みに合わせて自在にプログラミングでき、料理を作っているあいだや着替えているあいだに短時間で変更できる。照明や空調などの家電にもIoTが使われているので、たとえば、帰宅が遅くなってすぐにでも眠りたい時は、スマホからコマンドを送っておくと、適切な温度と明るさに調整されたベッドルームが迎えてくれるようになるわけだ。
MITで開発グループを率いるKent Larson教授はTED Talksで「CityHome」のアイデアを発表して注目されており、ほかにも都市部での移動を快適にする自動運転機能付きの電動バイクや複数で乗れるスマートコミューターの開発を行っている。
さらに、スマートシティを実現するこれらのアイデアは、MITのあるボストンをはじめ、ハンブルク、エルサレムなどで導入実験が始まっており、とうとう先日「ORI」という名前のIoT家具システムとして製品化された。ベッドルームを含む部屋全体をトランスフォームできるタイプと、ダイニングだけなど部分的にトランスフォームできるタイプがあり、ライフスタイルに合わせてチョイスできる。操作は家具に取り付けられたスイッチを使い、スマホからもコントロールできる。
ORIの変形。寝室、書斎、リビングなど、用途に合わせて空間が変身する
提供:Ori – www.orisystems
ORIのスイッチ。アイコンに軽く触れるだけで指定の形状へとトランスフォームする
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ユーザーの好みに応じてさまざまなモジュールの組み合わせを選ぶことができる
提供:Ori – www.orisystems
用途に合わせて部屋のレイアウトを自動でトランスフォームさせるというアイデアは、オフィスでも応用可能だ。MITの研究で同じ技術を使った「CITYOFFICE」は、事務作業や会議、講習などの目的に応じてデスクやチェア、会議テーブル、パーティションが自動でレイアウトを変えられるようになっている。ちなみに日本でも、日産がロボティクス技術を用い、自動で片づけられるオフィスチェアを開発している。
東京をはじめとした日本の都市部では、過密化が進み、住宅環境が問題になっている。ORIのようなソリューションは、解決の一助となる可能性がある。
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