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Clik here to view.写真提供:Lori Sanders/Harvard University
ロボットと聞くと、硬くてぎこちない動きをする無機質な物体のイメージがあるけれど、これからは、触るとぷにゅっとした感触で、まるで生き物のようにしなやかに動く”やわらかロボット”がトレンドになるかもしれない。
ハーバード大学が開発している「Octobot」は、その名のとおり、見た目はタコのような手のひらにのるサイズのロボットで、触るとぷにぷにするやわらか素材が使われていて、ゆっくりカラダをくねらせながら動き回る。ロボットを動かす回路まで特殊な液体状の素材でできているので、ぎくしゃくした動きにならないのが特徴だという。
作り方もこれまでのロボットとはまったく異なり、3Dプリンターで出力したタコ形のボディの中に針を使って少しずつ液体状の回路を注入していくという方法が使われている。ロボットを作るというより、新しい生命体を作る手術のようだ。
さらに動力源もユニークで、消毒に使われるオキシドールと同じ過酸化水素をもとにした液体燃料でガスを発生させ、それをチューブ状になっている回路の中に送り込んで動かすというもので、電気はまったく使われていない。そのためか動きも独特で、カラダをゆっくり膨らませたり縮ませたりしながら、コントローラーなどを使わず自分で動き回ることができる。
今、こうしたウェットウエアと呼ばれる生物工学の研究を組み合わせた “やわらかロボット”の開発があちこちで進められている。衝撃に強く、周囲にあるものを壊したり、傷つけたりしにくいので、人と一緒に活動するロボットとして最適というわけだ。しかも、しなやかに動けるので、細い曲がりくねった場所でもスムーズに動き回れる。家の中やオフィスはもちろん、たとえば長い管の中にある障害物を探索したりするといった、特殊な場所を探索するロボットにもこの技術は応用できる。
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Clik here to view.カリフォルニア工科大学で研究されているやわらかい駆動機構 写真提供:Dennis Kochmann / Caltech
「Octobot」を開発しているMichael Wehner氏は、「やわらかロボットの可能性は無数にあり、動力源や構造もできるだけシンプルなものを目指しているので、今後あらゆる場所でさまざまな形のロボットが作られるだろう」とコメントしている。
同じようなやわらかロボットは、ワルシャワ大学でも研究が進められていて、尺取り虫のような形と動きをする小さな回路が開発されている。回路は光に反応して動くようになっていて、いくつもつなげて動かすことができる。折り曲げたりねじったり、さまざまな形状にしやすく、見た目よりもパワーがあるので、ヒト型ロボットやサイボーグをより人間らしく動かせるようになるのではないかと期待されている。
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Clik here to view.ワルシャワ大学が研究する尺取り虫ロボット 写真提供:Faculty of Physics, University of Warsaw
映画『ターミネーター』では、殺人マシンの皮膚がはがれると、中から金属の部品がむき出しになるというシーンがあるが、 “やわらかロボット”の開発が進めば、多少壊れても見た目にはまったく本物と見分けがつかないものができるようになるのかもしれない。
関連リンク
The first autonomous, entirely soft robot-HARVARDgazette
The first autonomous, entirely soft robot-HARVARD News & Events
Faculty of Physics Univer-sity of Warsaw
The Utility of Instability | Caltech
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