ここは都内某所にあるKDDIの「モバイルオペレーションセンター」。たくさんのディスプレイがずらりと並ぶ様子はさながら映画に出てくるFBIやCIAの本部のようだが、そこではいったいなにが行われているのか? TIME & SPACEが、同センターの一員として勤務する伊藤晶に、その仕事内容について聞いた。
KDDI 運用本部 モバイルオペレーションセンター 伊藤 晶
お客さまにサービスを提供し続けるために
――このセンター内にはずいぶんたくさんのディスプレイがありますが、みなさんどういった作業をしているんですか?
「携帯電話の基地局や固定電話の交換機といったauの通信インフラにトラブルが起きていないかどうか、常時8名のスタッフが24時間365日体制で監視をしています。auの携帯電話の基地局は全国に数十万箇所あり、いまも1日に数十局のペースで増え続けています。基地局がトラブルに見舞われたときはその情報をいち早くキャッチし、サービスを途切れさせないよう、あらゆる対応を図る。それがモバイルオペレーションセンターの役割です」
モバイルオペレーションセンターがキャッチした不具合の情報はすぐさま現場に伝えられ、駆けつけたスタッフが修理や交換などの対応にあたる
――トラブルの原因は主にどういったものですか?
「基地局そのものが故障することもありますし、台風や大雨といった自然災害の影響もあります。また、急な温度変化や、猛暑によって障害が起こることもあります。そういった障害にいち早く対処できるよう、天気予報は常にチェックしていますね」
――トラブルが起きたことをどうやって把握しているんですか?
「すべての基地局には故障を知らせるアラームがついていて、なにかトラブルが発生するとこのモバイルオペレーションセンターに通知が来るようになっています。特に重要度の高いトラブルの場合、『警子ちゃん』が知らせてくれます」
――警子ちゃん!?
「これです。『警子ちゃん』っていいます(笑)」
「これが光りながら警報を鳴らしてセンター内に知らせてくれます。大きなトラブルが発生した場合、その状況をスタッフ全員が共有する必要がありますから」
トラブルに迅速に対応するにはチームワークも大切
――最近、大きなトラブルはありましたか?
「最近でいちばん大きなトラブルは、11月に発生した福岡の道路陥没事故にともなうものです。あの事故では光回線が遮断されたことでauの通信網にも影響が出ました。そのような大きなトラブルの場合、スタッフが一丸となって対応にあたる必要があるので、チームワークがとても大切になります。実際、福岡の件では現地と密に連携を取りながら状況を即座に把握し、他の基地局でカバーするなどして迅速に対応したため、大事には至りませんでした。
また、停電を伴う大規模な自然災害などが発生した場合は、災害状況やそれによるエリア状況を把握し、使えていないエリアがある場合には、テクニカルセンター(実際に現地対応を行う部署)に車載型基地局の出動要請などを実施します」
アンテナなど通信に必要な設備を積んだ「車載型基地局」
――それにしても、24時間365日体制とは、なかなか大変ですね。
「スタッフは交代制で監視にあたっています。もちろん大晦日やお正月も例外ではありません」
――みんなが年越しそばをすすりながら紅白歌合戦を観ているときや、おせちをつつきながら箱根駅伝を見ているときも、常にスタッフが常駐し、全国の基地局を監視し続けている、と。
「そうですね。かつては年が明ける瞬間に大量の“あけましておめでとうメール”で通信障害が発生することが多々あり、その対応に大わらわでした。近年はスマートフォンの普及でそういったこともなくなりましたが。
ともあれ、携帯電話の基地局はもっともお客さまに近い設備であり、auにとってサービスの最前線です。そのため、設備数も多く、多種多様なトラブルがあります。私たちモバイルオペレーションセンターのスタッフはみな、お客さまに快適な通信サービスを提供し続けられるよう、基地局のトラブルが発生した際は1件1件丁寧に、そして確実かつ迅速な対応を心がけています」
「通信技術は進化し続けています。きちんとキャッチアップしていけるよう、私を含めスタッフ一同、日々勉強に余念がありません」と伊藤
もはや私たちの生活に欠かせないものとなったスマートフォンや携帯電話。その舞台裏には日本全国に張り巡らされた通信ネットワークがあり、電波の中継地点となる基地局があり、伊藤をはじめ通信の安定のために手を尽くしている人たちがいる。
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