拡張現実、あるいは拡張現実感とは、現実の世界にコンピューターを用いて情報を付加していく技術のこと。英語のAugmented Realityを訳したものであり、略して「AR」とも呼ばれる。具体例として、スマートフォンで写真を撮影し、そこに写っている店舗などの情報を表示するアプリ「セカイカメラ」(今年1月にサービス終了)が挙げられる。
1968年、ハーバード大学のアイヴァン・サザーランド准教授は「ダモクレスの剣(The Sword of Damocles)」と名付けたヘッドマウントディスプレイを開発した。ディスプレイを通して見る現実の世界にCG画像が重ねられるというもので、拡張現実の嚆矢(こうし)となるものであった。この装置では、現実世界の視界を遮断して、CGだけを見るということもでき、ヴァーチャルリアリティ(VR)と並行して研究されたものだった。
1990年には、ボーイング社のエンジニア、トム・コーデルが初めて拡張現実という言葉を用いて、その概念を提唱した。ただ、この当時は、ボーイングが作る航空機などの輸送機器や軍需品、それ以外でも医療分野、機械のメンテナンスなどでの活用が想定されていた。
しかし、2000年代に入ると携帯電話、さらにスマートフォンが普及。手軽に持ち運びができる上、写真撮影が可能であり、GPS機能も備えていることから、拡張現実が広く普及する要因となった。
その結果、前述のセカイカメラや同様の機能を持つアプリであるWikitude、さらに飲食店・小売店のクーポンを発行するなどO2Oを目的としたもの、ゲームなどエンターテインメント用途のアプリなどが存在する。また、アプリだけでなく、自動車のフロントガラスをディスプレイにして、並走する車の速度などの情報を表示することで安全な走行に寄与する、といった拡張現実の活用方法も構想されている。
今後も、スマホのさらなる進化や、ウエアラブル端末の普及により、拡張現実の活用範囲はより広がっていくといえるだろう。
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