10月某日 @企画会議
編集担当者「そんなわけでですね、auとしては『4G LTE(800MHz)が人口カバー率99%超!※』っていうのをPRしたいので、廃墟にパソコンを持っていって、auのスマートフォンでネットにつなげていただいて、『廃墟でもつながる!』みたいな企画をやりたいなと思っているのですが……」
※「人口カバー率」は国勢調査に用いられる約500m区画において、50%以上の場所で通信可能なエリアを基に算出しています。
※4G LTEエリア内でも電波状況により3G通信(非対応機種除く)となる場合があります。またはご利用いただけない場合があります。
ヨッピー「なるほど。でもどうせやるなら普通のパソコンじゃなくてWindows95とかでやった方が面白いんじゃないですか? 昔の、ごっついパソコンで仕事してたら笑えるじゃないですか。廃墟でも発電機持ち込めば電源はなんとかなるでしょうし。まあそれで本当にネットに繋がるかどうかは知らないですけど。ハッハッハ!」
編集担当者「いいですね、それ。やりましょう」
ヨッピー「え? マジで言ってんの?」
そして開いた地獄の門
そんなわけで改めましてこんにちは。ヨッピーです。
前述の通り、今回は「Windows95で今でも仕事はできるのか?」を検証したいと思います。Windows95といえば約20年前に発売されたOS(基本ソフト)ですが、果たして20年前のシロモノを使って、今でも仕事はできるのでしょうか。
先に言っておきますが、マジで長期間死ぬほど苦労することになり、企画の途中で何度も何度も「なんでこんなことしてるんだろう」と自問自答を重ねるハメになりましたので、僕から皆さんにはこの言葉を贈りたいと思います。
思い付きで行動するのはやめろ。
撮影には「今にも死にそうな顔」でお馴染みの長橋くんが同行しています。
とにかくPCを手に入れる
とりあえずパソコン本体を手に入れないと始まらないので、秋葉原でWindows95搭載機を探します。
売ってない。
マジで売ってない。
ジャンク屋さんとかも探したのですが、店員さんいわく「いやー、さすがにWindows95はもうどこにも売ってないんじゃないかな」ということでした。
なんでも、つい最近秋葉原で「レトロPC祭り」が開催されたらしく、その機会に処分をしてしまった店も多いらしい。
のっけからつまづいてしまった!
5店舗くらいをまわったところで、実店舗で買うのは諦めてネット通販で売っているところがないか探してみることにする。
そしたら売ってた。
えー! 28,000円!? めちゃくちゃ高い! 20年前のパソコンなのに……。
でも確かに、『激レア』の言葉どおり、この機会を逃すとこんな良い状態のパソコンは二度と手に入らなさそう……。
ちなみに「おかげさまで完売いたしました」の文字が入っているのは僕が買ったからであります。はい。買ってしまいました。28,000円……!
そしてパソコンが届いた
そして届いたパソコン本体!
じゃーん! 思ったより綺麗だー! 20年前のモノなのに!
ここでスペックを紹介しよう!
NEC PC-9821 cb3/T
OS/Windows95/MS-DOS 6.20
CPU/Pentium75MHz
メモリ/16MB
HDD/810MB
14インチCRTディスプレイ一体型
フロッピーディスクドライブ
CD-ROMドライブ
まあ見ている人のなかにはなんのことかサッパリわからない人もいると思いますので、お仕事用として愛用している人も多いMacBook(※2014年)のいちばん安いやつと比べてみましょう。
はい。パソコンの進化ってすごいですね。
左が今のマウスで右が当時のマウス
ちなみにマウスも今のものと比べるとこんなに違う。
昔のマウスにはこんな風に丸っこいボールが入っていて、このボールが転がることによってマウスカーソルを動かしていたのであります。
こんな風にボールを取り外して中を定期的に掃除しないとゴミが溜まって感度が悪くなる。あのゴミを掃除するの結構楽しくありませんでした? 僕だけですか。そうですか。
いよいよWindows95、始動!
おおおおおーーーーー!
そしてこの起動音! 懐かしすぎるーーーーーー!
ヨッピー「うーん、この音、何度聞いても良いな……」
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長橋くん「何がそんなに良いんですか?」
ヨッピー「あのね、そもそもこのNECのPC-98シリーズは国民機と呼ばれるくらいに普及してたパソコンで、昔はNECが圧倒的なシェアを持ってたのよ。僕が人生で初めて買ったパソコンもPC-9821 V16っていうこのシリーズのパソコンだからね。僕のインターネット人生はこの起動音からはじまった、といっても良いようなシロモノなのよ。わかる?」
長橋くん「いや、わかりません」
ヨッピー「なんでわからないのよ。元々PC-98が普及したのは子供がやっちゃダメなゲームがPC-98でしかできないものが多かったからっていう側面も大きかったんだけど、このWindows95の登場によってどのパソコンでも大人の男の人が大好きなゲームができるようになって、徐々にNECの牙城が崩れはじめるのよ。あの伝説の名作『同級生シリーズ』もWindows版が出るようになってPC-98以外のパソコンを使っている人がどれだけ狂喜乱舞したことか。当時の絶対的な王であるPC-98と、そのPC-98を市場から駆逐したWindows95が同居してるっていう、この歴史の息吹みたいなものを感じてよ」
長橋くん「はい。わかりました(面倒臭いやつだな……)」
パソコンをインターネットにつなごう
とりあえずモノが問題なく動くことは判明したので、今度はこれをインターネットにつなげてみる。今回は特に「auのスマホでインターネットに繋げる」という命題があるのだ。
しかしながらなにをどうしたら良いかがサッパリわからない。最近のパソコンならWi-Fiでつなげれば一撃なのですが、いかんせん20年前のパソコンなので当然Wi-Fiなぞには対応していないわけであります。
困ったときの秋葉原、ということで店員さんに相談してみる。
ヨッピー「あの、Windows95のパソコンをWi-Fiに繋げたいのですが……」
店員さん「え、なんでそんなことするんですか?」
言われてみればなんでなんだろう。
「そこにWindows95があるから」かな……。
とにかく、事情を説明したところ『CバスLANボード』というものと、無線から有線につなげられる機械を買えば理論的には可能らしい。保証はできないということだったけど。
しかしながらその『CバスLANボード』はそこらへんに売っているようなシロモノではないらしい。秋葉原でもまず買えないって、どういうことー!?
はい。埼玉県の羽生市に来ました。
こちらにある『PC-98ショップ』という、古いパソコンを取り扱っているお店に来たのであります。なんだこの田園風景。
じゃん。こちらがPC-98ショップさんの店内。
古いパソコンがめっちゃある!
流石の品揃えだけあって首尾よく『CバスLANボード』をゲット!
ゲットしたCバスLANボードをPCにセットし、そこに無線LANユニット(無線を有線に変換してくれるやつ。普通はインターネット対応テレビなんかに使う)をセットしてこんな感じで繋げます。
そして起動すると……、
インターネットに無事に繋がったーーーーーーーー!!
最高~~~~~~!
試しにつないだYahoo!の検索画面がこれ。
文字化けがひどすぎて何がなんだかわからない。
ちなみにGoogleもやっぱり文字化けがひどい。
懐かしのテキストサイト、「侍魂」くらいしかまともに見れない……。
そもそも、インターネットエクスプローラー4という古いブラウザ(閲覧ソフト)しか入っていなかったので、もう少しまともに動くブラウザにしないと厳しいんじゃないかと思って新しいのを落とそうとしたのですが、新しいブラウザをダウンロードしようにも、ダウンロードページ自体がエラーになりまくってまともに開けない、みたいな状況。
ほかのパソコンでデータを落とし、このWindows95マシンに移そうと思っても、USBなんて挿すところがそもそも無いし、インターネットエクスプローラーのCD-ROMも持ってない。
トラブル発生
そこで仕方なくハードディスクドライブを取り外し、専用の変換プラグを使って新しいパソコンに直接つないでファイルを送り込む作戦に出る。
そしたら自動的にフォーマット(データの全消去)がかかりました。
「やめてくれぇぇええええええええええええええええええええええええええ!!!」
はい。再インストールも全然うまくいきません。
普通にインストールするのではなく、ドライブを指定するところからスタートしなきゃいけないらしい。
2時間ぐらい格闘したうえ、Microsoftにも電話したのですが、『MS-DOSの知識がある人じゃないと再設定は恐らく難しい』と言われ、NECの広報にも「追って連絡します」と言われたっきりで放置され、もはや万事休す。
泣く泣く今回の企画は諦めることに…………、
しません!!
週刊アスキー編集部の登場だーーーー!
週刊アスキー編集部の方に「パソコンがブチ壊れたのでなんとかしちくりぃ~~~~!」と泣きついたところ、リカバリーを快く受けていただいたのです!
やったー! 鬼に金棒すぎるゥー!
編集部の斎藤さんにパソコンを引き渡し、専門的な作業をお任せすることになりました。
ちなみにその作業の行程がこちら!
激闘7日間! Windows95を再インストールしてPC-9821を復活せよ
復活したPC-98
そして待つこと1週間!
「なんとかなりました!」というご連絡をいただいてさっそく引き取りに行く。
試しにインターネットに繋いでみたところ……、
Yahoo!がちゃんと表示されてる!
ヤッP~~~! 最高~~~~!
大喜びする僕。
Googleだってこのとおりちゃんと表示される!
さすが週刊アスキー編集部だけあって、詳しいライターさんがインターネットエクスプローラーを5.5にバージョンアップしておいてくれたらしい。文字化けが完全に解消された!
やったー! 週刊アスキーの皆さん!
ありがとうございます!
いよいよ本編!
そんなわけでここからが本番です。
無事にインターネットに繋がったWindows95とauのスマートフォンで、実際どのくらい仕事ができるのか検証してみたいと思います。
これが普通の「カフェでの仕事風景」ですね。
ドヤ顔でMacを開いて仕事している人、よくみかけます。
Windows95だとこうなります。
思ったより違和感なく仕事ができますね。
ちなみに店員さんに「外のテーブルで電源を借りてパソコンを開いても良いですか?」という確認も取ってあります。うん。嘘は言ってない。
お店の中だとこう。
意外とみんな気にしてないのがすごい。
この圧倒的なデカさ!
「仕事をしてる」というアピールをするのには丁度いいかもしれない。
何ができるかを調べてみよう
とりあえず「メールはできるのか」ということを確認するためにYahoo!メールにログインすると、ログインはできても受信トレイが全然開かずにフリーズ。
どうにも重すぎるみたいだ。ちなみにGmailも同じ症状。
じゃあSNSはどうか、ということで調べてみても、Twitter、Facebook、mixi全部ダメ。
そもそもページすら開かない!
「もふったー」というTwitter用のツールが、「Windows95でも動く軽さ!」みたいな説明文で紹介されていたので落としてみることにする。
そしたら転送速度がめちゃくちゃ遅い。4MBのファイルなのに5分くらいかかる。
auの4G LTEのせいじゃないのー? と思ったのですが……、
スピードを測ったら下り20Mbps程度とぜんぜん早いんですけど。
これ、完全にパソコンの処理速度の問題だわ。
しかもインストール中に変なエラーが出てうまくインストールできず……!
それにネットだってひとつ一つのページを開くのに3分くらいかかる。
なんか、やってるうちに段々このパソコンが可愛くなってきた。
ヨッピー「でも、メールもSNSも無理ってまったく仕事にならないね……ワードを起動して文つくるくらいしか……。ほかになにができるんだろう……」
長橋くん「あ、ヨッピーさん!」
長橋くん「Tポイントカードの残高は確認できますよ!」
ヨッピー「馬鹿かこいつ」
Windows95で今でもできること
・Wordを開いて文章を書く
・Yahoo!にログインしてTポイントカードの残高を確認する
・インターネットはわりとできる(でもひとつのページを開くのに3分くらいかかるし下手するとフリーズする)
できることがいくらなんでも少なすぎる。
この巨大な構造物より右のスマホ1台の方が圧倒的に性能が良いことを考えると、つくづく「技術の進歩ってすごいな……」と思わされる。
だって、現時点で既にスマホの方ができることめちゃくちゃ多いからね。
TwitterもFBもmixiもスマホならできるからね。
なんでこんな企画はじめちゃったんだろうね。
とりあえず廃墟に行こう
そんなわけで「廃墟でもauの4G LTEがつながる!」ということをアピールするために、今度は足尾銅山に向かうことにしました。ちなみに足尾銅山は栃木県のめっちゃ山奥にあります。
長橋くん「なんでこんな夜に出発するんですか?」
ヨッピー「僕、企画会議のときに、調子に乗って『どうせWindows95を繋げるなら、23時からのテレホタイムに繋ぎましょう※』とか言っちゃったのよ……」
【ヨッピー解説】
※テレホタイム……昔のインターネットは信じられないことに『繋げば繋ぐほど電話料金がかかる』みたいなシステムだったため、20年前のインターネット民は23時~翌8時まで一定の料金で電話がかけ放題になる「テレホーダイ」というサービスを主に使ってインターネットに接続していた。これを俗に「テレホタイム」と呼ぶ。23時になるとテレホ民が一斉にインターネットに繋げるため、回線が混雑して接続しづらくなる。
長橋くん「それに何の意味があるんですか……」
ヨッピー「その時はなんとなく面白いかと思って……」
サービスエリアの休憩中に「行きたくない」とゴネだす僕。
ちなみに東京都内から足尾銅山まで、結局片道3時間くらいかかりました。
はい。足尾銅山に来ました。当たり前ですが閉園してます。
「廃墟っぽいところ」って聞いてきたのに、普通の観光地だし中に入らない限り廃墟感なんて全然ない。
めちゃくちゃ寒いので、近くにあった駐車場で急いで準備に取り掛かる。
パソコンを取り出し、
周辺機器をつなげて、
発電機を起動します。
けっこううるさい!
そして立ち上がったパソコン! ヒュー!
何度見ても美しいロゴです!
auの電波もバリバリ4G LTE! これはちょっとほんとに凄いと思った!
試しに回線のスピードをチェックしたら下りで17Mbpsと脅威のスピード!
はやーい! 昔のインターネットなんて64Kbpsとかで喜んでたのに……。
テレホタイムがはじまる23時まで少し時間を潰し、23時と同時にインターネットに接続!
やったーー! 足尾銅山でもバッチリ繋がったぞーーーー!
ヨッピー「でもさ、結局ネットに繋いだところで、Wordで文章つくるくらいしかできないじゃん」
長橋くん「そうですね。とりあえずそれで『仕事をした』っていうことにしておきましょう」
そんなわけで……、
auなら、Windows95でも、足尾銅山でもau 4G LTE(800MHz)がバッチリつながること※が判明しましたーー!
ヒューー! au最高~~~~~~~~~!
※詳しくは4G LTE(800MHz)のサービスエリアマップをご確認ください。
ほんと僕、なにしに来たんだろ。
※Windows95は既にサポートを終了しています。みなさんはマネしないでくださいね。
※この記事は、2014年12月3日に更新された「au ツナガルコラム」の再掲載版です。
※「mixi」は、株式会社ミクシィの商標または登録商標です。
※「Twitter」は、Twitter,Inc.の商標または登録商標です。
※「Facebook」は、Facebook,inc.の登録商標です。
※「Windows95」は、Microsoft Corporationの、商標または登録商標です。
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