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まるでネットの中に飛び込んだみたい!? 全身でVR体感できるスーツが登場

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VRはまもなくバーチャルではなく限りなくリアリティに近づくかもしれない。

深海で巨大なクジラと一緒に泳いだり、ロボットを操縦して宇宙空間でバトルを繰り広げるなど、視覚だけでなく実際に身体を動かして楽しむ、VRアクティビティと呼ばれるアトラクションが登場し、人気を集めている。さらにVR空間を現実のように体験できるVRスーツの開発が進められ、実用化が近づいている。

Synesthesia Suit

そのひとつ、昨年12月にサンフランシスコで開催されたプレイステーションのイベントで発表された「Synesthesia Suit (シナスタジア・スーツ)」は、10月13日に発売が決まった「PSVR」向けの音楽シューティングゲーム “Rez infinite”を全身で体験できるボディスーツとして開発され、大きな話題を集めている。

スーツには26個の振動素子が埋め込まれ、ゲーム内で流れる音楽に合わせて音と振動が身体全体を刺激する仕組みになっている。さらにスーツ全体に取り付けられたLEDが振動とシンクロして発光し、プレイヤーだけでなく、見ている人たちとも一緒にゲームの世界観を楽しむことができるようになっており、実際にスーツを体験した人たちの多くは「これまでまったくなかった体験」だと絶賛している。

Synesthesia Suitを開発したのは”Rez infinite”の製作者であり、KMD(慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科)の特任教授を務めるゲームクリエイターの水口哲也氏をはじめとする大学院スタッフたちで、Perfumeなどのメディアアートで知られるライゾマティクスも製作に関わっている。6月に開催されたVRクリエイティブアワードでも最優秀賞を受賞しているが、現時点では正式に発売されるかどうかといった情報は発表されていない。

VRスーツのアイデアそのものは以前からあり、海外でもスタートアップによる開発が進められている。ワシントン州立大学の学生が起業したAxonVRでは、VRを動かすだけでなく、感覚や温度も再現できる高度な機能を持つVRスーツ「Axon Suit」と合わせて、歩いたり、跳んだり、全身の動きをVRと連動させることができるシミュレーターマシンを開発中だ。

Axon Suit

どちらも一般に販売されるにはまだ少し時間がかかりそうだが、VR市場の注目に伴い関連技術は急速に進化しており、さらに高機能のスーツが登場する可能性もある。VRはエンターテインメントだけでなく、スポーツトレーニングや医療リハビリ、遠隔手術といった分野へもビジネスの広がりを見せていることから、バーチャル空間での体験をよりリアルに伝えられるVRスーツのニーズは確実に高まりそうだ。

関連リンク

Rez Infinite Revealed for PlayStation VR
VR CREATIVE AWARD 2016

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【TSスマホカメラ部 ⑧】1,500円でスマホ写真がここまでアートに! 外付けレンズのススメ

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スマホでの撮影テクニックを探求し、SNSでたくさんシェアしてもらう写真を模索するTSスマホカメラ部。今回のテーマは、スマホカメラのレンズにかぶせることで、広がりのあるワイドな写真や、被写体にぐぐぐと迫った写真が撮れる「外付けレンズ(コンバージョンレンズ)」の実力に迫ります。

その外付けレンズの多くはクリップタイプで、レンズの位置にあわせて本体を挟むだけとお手軽。価格的にもこなれてきまして、かつては「広角レンズ」「魚眼レンズ」「マクロレンズ」の3種セットで1万円近くしたものが、いまや1,500円程度から選ぶことができます。

そこであらためて、外付けレンズを使うとスマホ写真はどう変わるのかを考えてみるのが、今回のテーマ。プロカメラマンの森カズシゲさんにお話をうかがいつつ、その効果的な使い方を追求してみます。

そもそも「広角レンズ」「マクロレンズ」とは?

今回の撮影に使った「カメラレンズキット クリップ式 3点セット」(TaoTronics)。レンズは3種。左から広角レンズ、魚眼レンズ(マクロレンズに重ねて使用)、マクロレンズ。セットにはクリップ、レンズキャップ、持ち運び用のポーチ、クリーニングクロスが付属

今回取材用に購入したのは、Amazonのスマホ用レンズ部門でベストセラー1位だった、TaoTronicsの「カメラレンズキット クリップ式 3点セット」。「広角レンズ」「魚眼レンズ」「マクロレンズ」の3種がセットでお値段なんと1,599円(※2016年8月26日時点)と、かなりお買い得な品ですが――そもそも「広角レンズ」「マクロレンズ」ってなんなんでしょう? さっそく森カメラマンに「広角レンズ」から、解説いただきましょう。

「広角レンズというのは、簡単に言っちゃうと、普通のカメラレンズに比べてワイドに写せるレンズのことです。たとえば狭い屋内で、部屋全体の雰囲気がわかるインテリア写真や、大勢の集合写真を撮りたくても、普通のレンズだと全部入りきらないですよね。自分が後退すれば写るんですけど、背後に壁があったら無理。でも広角レンズなら撮れるんですよ」

■iPhoneで普通に撮影

■iPhone+広角レンズで撮影

上は、なにもつけずにiPhoneカメラで撮った写真。下は、同じ位置から、広角レンズを装着して撮った写真です。広角で撮ると個展会場全体の雰囲気がわかりますね(撮影協力/中村 隆)

■iPhoneで普通に撮影

■iPhone+広角レンズで撮影

海や山、空などの風景写真もスマホカメラで撮ると上のようになりますが、同じ位置から広角レンズで撮ると、下のように広大でダイナミックな仕上がり

ちなみに、広角レンズを極端にワイド化したものが「魚眼レンズ(超広角レンズ)」。180度に迫る広さで撮影でき、被写体や風景がデフォルメされてまん丸に写る特殊なレンズです。

■iPhone+広角レンズで撮影

■iPhone+魚眼レンズで撮影

広角レンズ(上)や魚眼レンズ(下)で被写体に近寄ると、中心が大きく写ります。ペットを撮影しても楽しいですよ

■iPhone+魚眼レンズで撮影

魚眼レンズは周辺が歪んで伸びるので、こんな写真も撮れます

そして、広角レンズとは逆に、遠くにあるものを大きく写すレンズが「望遠レンズ」 。こうしてカメラレンズは写り込む範囲によって「広角」「標準」「望遠」という3つの大きなカテゴリーに分けられます。これらのレンズの種類を判断する目安は、「焦点距離(35mm判カメラ換算)」という数値。単位はmm(ミリメートル)で、およそ35mmまでが「広角レンズ」、50mm前後が「標準レンズ」、85mm以上が「望遠レンズ」とくくられています(このあたりは専門的な話になるので、興味がある方はググってみてください)。

公式には発表されていませんが、iPhone 6シリーズの外側カメラは29mm相当といわれていて、もともと「広角レンズ」寄り。今回紹介しているTaoTronicsの広角レンズをかぶせると約12mm。「超広角レンズ」と呼んでもいいくらい、ワイドに撮れるようになります。

「ただ、安い超広角レンズなりのデメリットもありまして、魚眼レンズとまでは言わないまでも、写真が極端に歪みますね。また、写真の端にいけばいくほどピントが合いづらくなり、中央付近以外はぼやけてしまう。それを理解したうえで、遊びで撮るならいいと思います」と森さん。確かに、上の写真をよく見てみると、写真の端のビヨーンとした部分がボケてるのがわかります。

では、もうひとつの「マクロレンズ」とはなんでしょうか?

「マクロレンズは、通常のレンズでは写せないほどの近さから、小さな被写体を大きく写すことができるレンズのことです。いろいろ種類があるんですが、TaoTronicsの場合は、スマホカメラではピントが合わない1~2cmまでグッと近寄れて、被写体を拡大して写せる顕微鏡みたいなタイプですね。『クイズこれなーんだ?』みたいなノリで、身近にあるものの意外なディテールを撮ってまわると楽しいですよ」

では、いくつか出題してみましょう。下の写真、これなーんだ?

■iPhone+マクロレンズで撮影

答え・・・・・・上/喫茶店で食べたトーストの表面。中上/ガラスコップの水滴。中下/千円札の野口英世の瞳。下/筆者の瞳

いかがでしょう? こうして、広角レンズやマクロレンズ、魚眼レンズを使うことで人とは違った写真を撮って、SNSにアップできる。つまり、「いいね!」がたくさんもらえるかもしれない、というわけです。

高級外付けレンズと撮り比べてみたら・・・・・・

いろいろと撮ってみてわかったことは、TaoTronicsはカジュアルなお値段ゆえ、画質もそれなり、ということ。では、大枚はたいてもっと高価なスマホ用外付けレンズを購入すると、どうなるのでしょうか?

その答えのひとつが、筆者がアメリカから取り寄せたMoment社のスマホレンズです。購入したのはiPhoneに装着すると18mm相当になる広角レンズと、60mm相当になる望遠レンズ(メーカーによる名称)の2本。手作業で組み立てているという精巧なレンズのお値段はなんと1本99.99ドル、およそ1万円強です。噂によるとApple社のCM「iPhoneで撮影」シリーズの撮影にも使われているとか。

こちらがMoment社のレンズ。スマホには専用のプレートで装着します。ケースによっては干渉する場合も

では1,500円のレンズと、1万円のレンズのいったいなにが違うのか、比較してみましょう。

■29mm相当のiPhoneカメラで撮影

こちらがノーマルレンズで撮ったもの

■12mm相当のTaoTronicsの広角レンズで撮影

ダイナミックですが歪みが極端で、周辺もブレがち

■18mm相当のMoment広角レンズで撮影

歪みが少なくクリア

もう1本が、望遠レンズです。安価な外付けレンズのセットは、今回紹介したように「広角・魚眼・マクロ」の3点が主流。それだけに、実は貴重なのがスマホカメラを2倍ズーム相当にしてくれる望遠レンズだったりするのです。望遠といっても、使いみちはなにも遠くのものを撮るだけではありません。そのメリットを表しているのが、下の写真。

■29mm相当のiPhoneカメラで撮影

■60mm相当のMoment望遠レンズで撮影

上/29mm相当のiPhoneカメラで撮影。下/同じような構図にするため、少し離れた距離から60mm相当のMoment望遠レンズで撮影

上がiPhoneで撮影したものですが、もともと広角なので被写体に近寄るとデフォルメされ、コップの形が微妙に歪んでいることがわかります。これが人物だと、顔のバランスが崩れたり、太めに写ったりすることも。同じような構図でも望遠レンズで撮影すると、歪みがなく、モノのかたちが正確に描写されるのです。

というわけで、外付けレンズについて結論めいたことを述べると、楽しく撮るなら安価なレンズセットで十分差が出る。ただし、より写真の質にこだわるのなら、大枚をはたいてみるのもよし・・・・・・というところでしょうか。みなさんもぜひ、外付けレンズでワンランクアップした写真表現に挑戦しては?

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au Online Shopクリップレンズ

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お手本は人間の脳。いま最高にホットなテクノロジー「ニューラルネットワーク」

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HAL9000やスカイネットはいつ現れる?

人工知能(AI、Artificial Intelligence)といえば、SF映画では人間からの質問や命令にすぐさま反応し、サクッとミッションをクリアするシーンがよく描かれる。ただ、実際に実現するまでにはまだまだ時間がかかりそうで、映画『2001年宇宙の旅』でディスカバリー号に搭載されたHAL9000や、『ターミネーター』で人類滅亡のためにロボットを作り続けるスカイネットのようなコンピュータはまだ存在しない。

・・・・・・と思っていたら、2016年3月にコンピュータ囲碁プログラム「AlphaGo(アルファ碁)」が世界最強棋士のひとり、韓国のイ・セドルに勝利したというニュースが世界を駆け巡った! 囲碁といえば、チェスや将棋と比べて手数が多く、コンピュータが勝利するのは難しいとされてきた。今回解説する「人工ニューラルネットワーク」は、世界トップ棋士に勝利したAlphaGoに使われていた基幹技術だ。

AlphaGoとイ・セドルの対局の模様はYouTubeで見ることができる。囲碁好きの方はどうぞ

しかも、その3カ月後の6月、Twitter社がマジック・ポニー社という、社員たった11人の無名の英国企業を買い取ったというニュースが流れた。どんな会社なのかとマスコミが慌てて調べたら、なんとニューラルネットワークを用いた人工知能を開発している企業だったのだ。そう、ニューラルネットワーク、いま最高にホットなフロンティアなんです。

人間の脳の神経回路システムから着想する

人間の脳は千数百億以上ともいわれるニューロンという神経細胞が集まって構成されている。人間はなにかを経験すると、その原因と結果を記憶して自分なりのルールを見つけ、未経験のことに応用しようとしている。同じように、コンピュータにも事例となるデータを入力し、コンピュータなりのルールを見つけて、未経験の計算に応用できる関数をつくれるようにしようとしたのが人工ニューラルネットワークだ。

人間の脳がコンピュータだとしたら、ニューロンは回路。そしてニューロンとニューロンの接続部のシナプスでは、化学物質や電気を介して情報が伝達されるのだ

ちなみに、「人工」とつくようになったのは最近のこと。医学が進むにつれ、当初考えられていた脳の働きは、コンピュータにやらせようとしたものとは随分異なることがわかってきた。「これは一緒にするとマズいよね」ってことで、わざわざ「人工」をつけるようになったとか。

さて、話は戻って「AlphaGo」。これまで棋士に挑戦してきたプログラムとAlphaGoが大きく異なるのは評価経験則、つまり過去の囲碁の展開パターンが入力されていないこと。代わりに人工ニューラルネットワークを活用して、自分自身の中で対局を繰り返して最適な一手を見つける。開発者であっても、AlphaGoがなぜそこに石を置くと決めたのか、説明することはできないという。

ニューラルネットワークはディープラーニングの大切な要素

人工ニューラルネットワークは、人間の脳の生物科学的な仕組みからヒントを得て生まれたもので、AlphaGoでは多くのニューロンを多層構造で構築することで、膨大なデータを処理した。こうした多層構造の人工ニューラルネットワークは、ディープニューラルネットワークと呼ばれ、これを用いた機械学習(=アルゴリズムを使って特定の事象についてデータを解析し、傾向を学習・予測・判断を行う手法)がディープラーニング(深層学習)と呼ばれるようになった。

たとえば、MRIのスキャン画像からガンの兆候を発見したり、Facebookの投稿画像から友達と思わしき人物を特定するのも、ディープラーニングの成果。今後も消費者の動向を分析する製品マーケティングや、購買パターンの予測、果物の品質判定、漁獲量の予測など、あらゆる面で活用が期待されている。

今後の私たちの生活に根差したテクノロジーの源となるのが人工ニューラルネットワーク。それにしても、解明された脳の一部分からだけでもこれだけの技術が生まれるってことは、未解明の部分が明らかにされたら、一体どんなことが実現してしまうのか? そしてすごいのはやっぱり、人間の脳ってこと?

映画『2001年宇宙の旅』に登場した人工知能HAL9000は、映画ではこのカメラ・アイとしてその存在を暗示するだけで、コンピュータ本体が登場しないのが逆に不気味だった

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ウィンクがシャッターに! スパイ映画さながらの撮影が現実のものに!?

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SNSをはじめとした、写真を発表する新しい「場」が現れたことで、その写真を撮るカメラそのものにも、従来デジタルカメラのような「画素数」や「センサー」の大きさだけではない、新しい”価値”が求められている。このカメラはいわば、「写真の撮り方そのものの提案」だ。

シャッターはウィンクのみ

従来のスマホやデジタルカメラの「取り出してカメラを起動→構える→撮影」という一連の行動を、ウィンクひとつで済ませるユニークなカメラ「ブリンカム」が、2016年7月にクラウドファンディングをスタートした。1カ月も経たないうちに支援コースが次々とソールドアウトになり、話題となっている。

ブリンカムの最大のポイントは、カメラに触れることなく、ウィンクだけで写真撮影をできるという点。使い方は、本体のスイッチを入れ、お手持ちのメガネのテンプルに黒いラバー部分を引っ掛けて装着するだけ。自動でスマートフォンとペアリングするため、メガネを装着後、すぐに写真撮影が可能となる。撮影した写真は専用アプリをインストールしたスマートフォンへ転送され、そのままSNSなどに投稿することもできるという。さながら映画『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』に登場した、まばたきで撮影できるコンタクトレンズ型カメラのようだ。

特許申請中のセンサーが筋肉の動きをキャッチ

ウィンクといっても日常的に繰り返す軽いまばたきではなく、意図的な強いまばたきのみに反応するため、不必要な写真が残る心配もなく、その精度は90%を実現しているとか。現在、特許申請中のブリンカム内部に搭載されたセンサーが、こめかみあたりの筋肉の動きの強弱を検知。シャッタースピードはウィンクをしてから、およそ0.2〜0.3秒とタイムラグも少なく、見た風景をそのまま写真に収めることが可能だ。これなら被写体もカメラを向けられている感覚がないため、「構える」ことがない。子どもや家族の自然な表情を記録することができるというわけだ。

無駄を省いたシンプルなデザイン

本体のサイズは、奥行き約85mm×高さ約17mm×幅約10mmと、メガネのテンプルに沿うよう細長く設計されている。取り付け部分の黒いラバーは着脱式で、メガネのテンプルの太さに合わせて交換ができるよう、3つのサイズを同封。さまざまなデザインのメガネに対応するといった工夫もなされている。

重さは25gと超軽量。装着時、メガネが傾くなどの心配もないだろう

今後はウォータースポーツにも対応予定

現在、販売はクラウドファンディングのみだが、2016年12月に製品リリースが決定しており、価格は19,800円。今後は動画撮影機能の実装や、小型化、軽量化などを検討中とのこと。さらにメガネだけでなく、各種スポーツのゴーグルに対応するよう、アタッチメントの変更や、ウォータープルーフ版の開発など、着々と準備を進めているそう。日常のスナップや旅先での利用はもちろん、各種スポーツなどのアクティビティでの活躍も期待される、個性的なプロダクトだ。

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Blincam

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助けを呼ぶキャベツ、立ち聞きするナズナ

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植物が会話をしている? 「そんなバカな」と決め付けるのは早計だ。
彼らには彼らのコミュニケーション手段があると分かってきた。

あらためて、植物と動物とは違うということ

植物は動けない。動物の目鼻口のように役目が定まった装置が、決まった数、いちばん都合の良いところにちゃんと配置されているわけでもない。葉っぱの繰り返しだ。でも光合成などというスゴいことをする。エイリアンと言ってもいい。だから、我々の認識(常識?)で植物を判断してはいけないのだけれど、往々にしてそれをやってしまう。

「植物が助けを呼ぶなんて無理」「立ち聞きするって、耳ないのに」「そもそも、それを考える脳がないじゃん」という考え方は、往々にして本人の気付かぬままに、ヒトの立場で全ての生き物を分かろうとする(潜在的な)思考回路に起因するのだろう。ここでは、キャベツやシロイヌナズナなどの植物を用いて研究してきた我々の成果を紹介したい。

助けて! をどう伝えるか

まず植物は「いつ」「誰に」助けを伝えるのか? 植物の主要な敵の一つは害虫である。植物は、害虫の食害を受けた時だけ、その害虫の天敵を呼び寄せて、助けてもらうということをする。つまり「敵( 害虫)の敵( 天敵)は味方」という関係性を使った防衛で、ここで天敵は植物のボディーガードといえる。我々は害虫に寄生して殺す寄生蜂という天敵に注目して研究してきた。彼女らの多くは植物にとって頼りになるボディーガードだ。では、どうやって呼んでいるのか。

植物が寄生蜂を呼ぶための方法は「傷ついた際の香りの放出」である。我々が実感しやすい例は、葉をちぎった時の匂い(みどりの香り)である。我々がちぎって出るなら、害虫が葉を食べた時にも当然出るはずで、そのことは多くの食害葉で確認してきた。不思議なのは、ハサミで一気に傷つけた時の匂いの大部分がみどりの香りなのに対して、害虫がじわじわと食べた葉からは、みどりの香りに加え「揮発性テルペン」というグループに属するいろいろな香りが出てくる。しかも植物は、害虫種ごとに異なる「食い方の作法」に反応し、異なった香りのブレンドを放出する。さらにスゴいのは、作法特異的な香りブレンドに反応して、それぞれの害虫の寄生蜂が特異的にやってくる(これには寄生蜂の香りに対する学習が関与している場合もある)。擬人的にいえば「植物は香りブレンドを調整して、今、食害している害虫種を示す情報を大気中に放出し、寄生蜂はその情報を利用(学習)して被害株に来る」ということだ。この香りブレンドによる被害植物と天敵との香りコミュニケーションはキャベツだけでなく、さまざまな分類群の植物で報告されている。

立ち聞きして危機に備える

被害株に隣接する健全株にとって、隣で暴れている害虫の次なるターゲットはわが身ということになる。害虫被害株からの天敵誘引性の香りブレンド情報は、いったん大気中に放出されると、誰でも利用できる。この情報を健全植物が「今そこにある危機」情報として立ち聞きし、来るべき害虫に対する防衛レベルを高めておくという現象(植物間の香りコミュニケーション)も研究している。香りを嗅ぐといっても、動物が持つような嗅覚受容体があるわけではない。それにもかかわらず、シロイヌナズナでは動物に匹敵する高い匂い受容感度を持っているようだ。動物とは全く異なる作動原理を持つ植物の香り認識システムとは、いったいどのようなものなのだろう? 我々の成果はまだ氷山の一角にすぎない。
執筆:高林 純示
絵:大坪紀久子

上記は、Nextcom No.27の「情報伝達・解体新書 彼らの流儀はどうなっている?」からの抜粋です。

Nextcomは、株式会社KDDI総研が発行する情報通信誌で、情報通信制度・政策に対する理解を深めるとともに、時代や環境の変化に即したこれからの情報通信制度・政策についての議論を高めることを意図として発行しています。

詳細は、こちらからご覧ください。

Junji Takabayashi

京都大学 生態学研究センター 教授
1956年生まれ。京都工芸繊維大学繊維学部卒業、京都大学農学博士。
同農学部助手、ワーゲニンゲン大学研究員、京都大学農学研究科助教授を経て現職。
2007年4月より2年間同センター長。
昆虫-植物間相互作用に関して基礎から応用まで取り組む。

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株式会社KDDI総研

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ただいま超絶進化中!! 「フラッシュメモリ」の仕組み、教えます

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フラッシュメモリ、実は日本生まれなんです

1980年、当時東芝の研究者だった舛岡富士雄博士が発明したフラッシュメモリ。それから30年以上が経った今、世の中はフラッシュメモリにあふれている。スマートフォンやパソコンはもとより、冷蔵庫や電子レンジ、腕時計などなど、データを扱う製品の中には必ずフラッシュメモリが搭載されているといって差し支えないだろう。机の引き出しを開ければ、USBメモリがたくさん入っているだろうし、デジカメのSDカードだってフラッシュメモリ。その活用例を挙げたらキリがない。

さて、フラッシュメモリの語源は、写真を撮影するときに使うストロボ(フラッシュ)のようにパッとデータを消去できることにあるそうだ。フラッシュメモリが登場する以前、データはテープやフロッピーディスクに書き込んだり読み込んだりするのが当たり前だった。ドライブに入ったフロッピーディスクがギュギュギュとか、カカカカカと音を立てる様子は「いかにも今、データを記録してます!」って感じだったが、なにせ時間がかかる。サッと書き込み、パッと消去できるフラッシュメモリは、一体どんな仕組みなのだろう?

素早く貯めて抜く! 鮮やかな電子の扱いがキモ

メモリチップの中にはセルと呼ばれる部屋が無数にある。そのひとつのセルの構造は図1のようになっており、フローティングゲートという場所に電子を貯めたり抜いたりすることで、データの記録と消去を行っている。記録する場合は図2の左側のように、コントロールゲートに電圧を加えて電子をフローティングゲートに引き寄せ、格納する。逆に消去する場合は電圧を逆方向に加えてフローティングゲートに入っている電子を外に出す。

■図1

■図2

記録したデータを読み出すときは、ソースからドレインに電流を流す(図3)。フローティングゲートに電子があれば電流が流れにくくなり、電子がなければスムーズに流れる。電流の流れ具合を検出してデータを取り出していく。ちなみに電子がフローティングゲート内にあるときは絶縁(電流が通らない)状態で保存されている。だから、電源を切っても記録したデータは消えない(=揮発しない)。フラッシュメモリが「不揮発性メモリ」と紹介されているのは、こういう理由だ。

■図3

わずか数センチの黒い板の中で、小さな小さな電子が出たり入ったりしながら大量のデータを運んでいる。なんだか愛おしくなってくる(気がするのは筆者だけ?)。

飛躍的な大容量化を実現する「三次元フラッシュメモリ」

USBメモリはちょっと前までMB(メガバイト)単位が一般的だったが、今ではGB(ギガバイト)が当たり前。大きな容量のメモリを安価に買える時代になったところで、飛躍的な大容量化を実現する技術が確立した。その名も「三次元フラッシュメモリ」。

これまでフラッシュメモリの容量を引き上げるには、データを収めるセルのサイズを小さくし、かつ、小さなセルにできるだけ多くの情報を入れるというアプローチの仕方だった。平屋の家に細かく仕切りを作って、小さな部屋にたくさん人を詰め込むようなことをしていたわけだ。しかし人間も電子も同じで、ぎゅうぎゅう詰めになりすぎると、お互いに干渉してデータのエラーが発生してしまう。

「三次元フラッシュメモリ」は、同じ土地に平屋ではなく高層マンションを建てようという考え方。東芝が開発したBiCS FLASHは世界最多の48層! メモリチップ内の縦にも横にもセルを設けられるようになったのだから、データ容量がどかんと増やせるわけだ。しかも、チップの大きさは今までどおり。サイズ変更なしで48層も積み上げられるようにするなんて・・・・・・。研究者の皆さん、ありがとうございます!

東芝が開発した3次元フラッシュメモリ「BiCS FLASH」の概念図。まるで高層ビルだ。画像提供:株式会社東芝

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「鏡よ鏡、会社の照明で私がいちばん映えるようにメークしたいの」が叶う? スマートミラー

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simplhuman sensor mirror pro ウェブサイトより

アメリカのハウスウェアのトップブランドのひとつである、シンプルヒューマン(simplehuman)のセンサーミラーのセンサーは、メークアップのために人がミラーに近づくと反応し、LEDライトが点灯して、離れると消える。

5月発売の新製品Sensor Mirror Pro(250ドル)は、外見上は周辺部5倍(半径8インチ)の拡大率の凹面鏡で、メークアップする部分を大きく映しながらお化粧できるようになっている。センサー内蔵なので、使用者が接近すればLED照明がつく。中心部に小型で倍率の高い(10倍)の凹面鏡を磁石で取り付ければ、もっと細かい部分も大きく見ることができる。

simplhuman sensor mirror pro ウェブサイトより

LEDは周辺部を円周上に取り囲むように取り付けてあり、太陽光を模した光などを放つ。simplehumanではTru-luxと呼んでいるが、アプリを利用してLEDをコントロールし、晴れや曇りの太陽光だけでなく、蛍光灯、白熱灯などなど5万種類以上の光のバリエーションをつくり出すことができる。

使用シーンに合わせて光が調整される(動画「simplehuman wide-view sensor mirror」より)

同じ化粧品を使っていても、周囲の光によって見え方はまったく違う。単に色が違って見えるだけでなく、光の反射の違いが化粧品を浮かせて不自然に見せたり、思った以上にケバケバしく見せたりしてしまう。これは、メークアップする場所にある鏡と照明だけを頼りに行うのでは、回避できない。さまざまな光の中に身を置かなければわからないので、あらかじめシミュレーションするには、メークアップ場所でさまざまな光を浴びるしかないのだ。

さらにこの鏡、IFTTTなどを通じて、スマートフォーム関連製品や、外部のアプリケーションと連動できる。天気予報を見て、自分の判断で化粧を変えるのではなく、天気予報に合わせてその日の天候をシミュレーションする照明が自動設定されるように進化させることもできるということだ。

AmazonのAlexaとも連動するそうなので、ゆくゆくは「鏡よ鏡、オフィスの照明でいちばん映えるようにしたいの」と言えば、そのような光を発するようになるのかもしれない。

筐体は充電式なので、フル充電で4週間程度、コードレスで使用することができる。出荷は米国のみ。

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Sensor Mirror Pro
センサーミラー
IFTTT
Amazon Alexa

【イノベーターズ】「指紋ひとつで現金のない世界をつくる男」久田康弘

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通信やICTにまつわる”なにか”を生み出した『イノベーターズ』。彼らはどのように仕事に向き合い、いかにしてイノベーションにたどり着いたのか。本人へのインタビューを通して、その”なにか”に迫ります。今回は、画像解析のパイオニアにして、”使える生体認証”を世界に広げつつある「Liquid」の久田康弘さんのインタビュー。ものすごく端的にいえば、指紋ひとつで支払いができるシステム。テーマパークでは手ぶらで遊べるし、量販店でも指1本で買い物できればポイントまで貯まる、という。指紋の検索と照合のスピードを劇的に早めて、それだけで決済できるようにしたところが、イノベーション!

小さいマウスぐらいの箱には楕円の形に3つの”えぐれ”があって、そこに人差し指・中指・薬指を乗せる。箱に接続されたタブレットで携帯電話番号を入力。すると、電話にSMSが届いて認証。以上で登録は完了。このあと、電子マネーみたいに指紋でピッと支払いができる――。

『Liquid』で開発された「Liquid Pay」という指紋決済サービスだ。目の前でサクサクとデモンストレーションしてくれたのが創業者で社長の久田康弘さん。

指紋でお金が払えるシステムの秘密

生体認証はスマホの指紋認証をはじめ、銀行ATMには静脈認証がついてるのもあるし、虹彩をスキャンして入退室を管理している施設なんかもある。なので、指紋を登録して電子マネー的に使えるぐらいは、「べつにフツー」という程度の印象しかなかった。だが久田さんの説明を聞くと驚くのである。あ、この時点で「バカ、スゴイことじゃん」と言える人は何行か飛ばしてください。

「たとえば銀行のATMならキャッシュカードがあって、そこに指紋とか静脈の画像情報が入っています。カードを入れるとそのデータが吸い出されて、実際にATMにかざした指紋と1対1の照合をする。オフィスとか研究室とかの入退室も指紋とか虹彩の管理することもあるんですけど、そこに日常的に出入りする人が1000人ぐらいとして、彼らのデータがドアノブのメモリーに登録してある。出入りする時はそれらと照合するから、せいぜい検索・照合の対象は1000対1ぐらい。それが指紋認証のユーザーの最大値だったんですね。でも、決済に使うには少なく見積もっても100万対1ぐらいで照合しなくちゃならない」

指紋の登録用の端末。指を乗せてタッチパネルから携帯電話番号を入力する。それだけで最低限度の本人確認と、与信審査が即時完了。スマホのアカウントは複数取得が可能だが、世の中にひとつの携帯電話番号と指紋を組み合わせれば、非常に強力な個人特定の材料となるのだ

そりゃそうだ。その場所で登録した1,000人しか使えない電子マネーがあったとして、そんなのなんの役にも立たない。登録しさえすれば、誰でもどこでも使えてこその電子マネーだ。開発の前に久田さん、その「100万」という数字を、既存の生体認証システムの大手ベンダーにぶつけてみたという。返ってきた答えは「登録するメモリーを分けてください」「別にカードが必要ですね」「本人特定のためのコードを付けるのはどうですか」

生体情報を登録してるのに、別にカードを持つなら、そもそも生体情報などいらないのだ。要は、100万対1で生体情報を検索して照合するなんて、不可能だったのである。

「そこが我々の最大の強みなんです。従来の生体認証は、座標軸の一致を見ていました。たとえば顔でいうと、目頭とか鼻頭とか特異的な場所を、コンピュータが座標軸の位置情報として認識していたんです。逆に言うと、どんな顔をしていようが、アイテム名と座標軸としてしかコンピュータは取り扱わない。目尻(0.3 1.2 3.3)みたいに顔のパーツの位置をデータ化して座標で表すことになります。コンピュータは、その数値を照合するわけです。登録者が1,000人いたら、1人を特定するためには1から1,000までの数値を全部参照しなきゃならないんですね。

“そこしか使ってないのか!?”って驚きました。コンピュータじゃなく人間だったら、会った人の顔は感覚値としてわかりますよね? “似てる系統”に分けることができる。僕らが取り入れているのはそれに近いやり方です。」

従来の多人数メモリ型の生体認証では1人照合するのに0.05〜0.1秒を要していたらしい。それを一気に数十〜1,000倍程度のスピードに短縮した。

なぜ、久田さんの登場まで実現できなかったのか。簡単に言うと「儲からないから」。

日本のソフトウエアベンダーの多くは、ソフトウエアをハードウエアとセットにしてお客さんに売ることで成り立つシステムらしい。だから一度、”指紋認証”を売ってしまうと、今度は”静脈認証”とか”虹彩認証”とか、次々と新しいソフトウエアを開発し、静脈読み取り機とか虹彩読み取り機とセットにして売ることになる。一方、海外では、レベニューシェアのモデルが一般的。要するに、導入に費用はほとんどかからず(あるいは無料)で、ユーザーが使い続けることで収益を上げるという。

「だから、そこにチャンスがあると思ったんです」

「Liquid」はUSBで指紋リーダーをPOSレジにつなげれば、指紋決済が可能になるという簡単さ。・・・・・・と、書くとシンプルだけど、もちろん、そこにはイノベーターと呼ぶにふさわしい慧眼もあるのであった。

スマホのブーム到来で、彼だけが気づいた

「Liquid」が設立されたのは2013年12月のこと。その前には久田さん、大和証券SMBC株式会社で3年働いていた。ちなみに大学は法学部。「いちばんやりたくない学部に入れば?」という、同じく付属校出身のお兄さんからのアドバイスで選んだ。

「好きなことは自分で勝手にするので、好きじゃないものに触れる環境にしたほうがいいと。それで、社会に出た時に、最低限知っておいたほうがいいルールを学べるところがいいかなと思って」

法学部は、今の仕事とはあんまり関係ない。大学の授業以外はずっと興味のあった金融工学の本ばかり読んで過ごして、「いずれは起業か経営」と考えていた。いつも自ら、どこかから課題を見つけてきては解決することに喜びを感じる性質だったという。

証券会社に入る時には「いずれやめます」宣言。将来の起業に必要な各種スキルを学ぶための修行と割り切っていた。

くだ やすひろ
慶應義塾志木高校在学中から経済システムのオタクを自認。慶応義塾大学では法学部を選ぶが、金融工学、とりわけ統計数理を個人的に学ぶ。卒業後、大和証券SMBC株式会社に入社。IPOコンサルや企業再生を手がけ、3年で退社。いくつかのベンチャー企業技術顧問、事業支援などを行ったのち、2013年に「Liquid」を設立。幼い頃から、いつも自分で何がしかの課題を見つけ出し、解決策を見出すことに喜びを感じてきたという。「いや、何か中二病的な、人と違うことをやりたいという性質はありましたね。逆張りが好き、みたいな」

「自分でやるかパートナーさんとやるかはわからなかったけど、マネジメントとか資金調達とか、ひと通り外側からでも近いところで体験したいと思ったんです。まずは流通市場の流れ、融資や株式引き受けの審査のようなかたちで企業の調査、そのあとがコンサルティング。通常の証券会社は手続き面のコンサルがほとんどなんですが、僕は入り込んで経営やシステムの提案までしていました。範囲は逸脱していたけど、お客様に好かれればなんでもいいだろうと。それで色々な企業のオーナーさんたちに可愛がっていただき、情報交換するようになったんです」

最後のコンサルの時になると、もう会社を経営できる気になっていた。

「資本主義のルールみたいなものを体感できたし、マネジメントも体験させてもらうくらい。目の前で上場していく会社が何社も出てくると、自己暗示にもかかってたんでしょうね(笑)」

それが2011年ごろ、ちょうどスマートフォンが世に出始めた時期である。携帯電話キャリアはどこもアプリベンダーを探していて、仕事で向き合うベンチャー企業の経営者たちからスマートフォンについてよく意見を求められていたという。

その時、久田さんは、アプリじゃないスマホの可能性を見出したのだ。

「衝撃だったのは、物理キーボードのないところでした。PCといいガラケーといい、キーボードを搭載しているデバイスは、基本、人間がデータを01にして入力するものでしょう? キーボードのないスマホは、カメラがセンサー化して情報を司っていくんじゃないかと直感的に思ったんです。

スマートフォンの登場以降、ユーザーの投稿の情報量は減り続け、写真や動画がコミュニケーションに中心になりつつあるという実感があって、これからは自然言語処理や数値処理より、画像解析をやれないとユニークになれないし、その領域にこそまだチャンスがあるなと。

みなさんインターフェイスの斬新さに注目されてましたが、僕のなかでそこは重要な変化ではなかったんです。スマートフォン=センサーとしての役割になっていくんじゃないかって、なんとなく思っちゃったんです。そもそもそのころ、おかしなことを言っていて、グーグルに勝てるような検索エンジンをつくりたいと。自然言語処理だったら無理っぽいので、そこで”じゃあ画像解析だ!”って決め打ちで(笑)」

できるかできないかより、やらなくちゃだった

その思っちゃったことを実現できるかどうかはわからなかったけれど、「このタイミングでやらなきゃいけないっていう方が強かったんですよ。今じゃないと、この流れには乗れないだろうなと。波がきてから乗ったら乗り損ねるので、来る前に乗らなくてはと」

画像解析のパフォーマンスをアピールするには人の識別をするのがわかりやすいと考え、まず東工大の教授からの推薦を受けて、東大系ファンドと一緒に総務省主催の新しいIT企業向けのプロジェクトに応募・・・・・・するのは良いのだが、わからないのは、投資銀行で経営を学び金融工学オタクだった久田さんが、なぜ画像解析技術にも明るかったのか、という点。

尋ねてみると「”解析”というところが同じなんです。金融工学でも画像解析でも、どちらもやることは数値解析なんです」と涼やかに笑っている。

「前者がすでに01の世界のデータになっているものを解析するのに対し、画像は、それを01の世界に落としこんでから解析するところの違いですね」と、やはり笑っている。

以前のコネクションを最大限に活用し、様々なベンチャーや大学の研究室から志ある仲間たちを集めて、最初は4人からスタート。あるタレント事務所に、「将来売れるタレントさんを識別できる技術」を提供したり、コツコツとキャリアを積み上げてきた。「Liquid」の画像解析技術を使えば、生体認証の領域でいろいろなことができるよね、と仲間たちと話をするなかで「どうせ生体認証まで登録するなら決済もできたほうが楽じゃん」ということになった。

「僕の周りを見たら、なんだかんだで財布にカードが70枚ぐらい入ってるヤツもいて、みんな財布がパンパンで(笑)。まだApple Payとかも出てきていない頃でしたね。まだスマートフォンの生体認証もやっていなかったかな。今の財布はいちばん薄いタイプ・・・・・・というか財布すら持っていないこともしばしば。Suicaとクレカぐらいしか持っていない。現金はほぼ持っていないですね(笑)」

今、「Liquid」で働くメンバーは約30人だ。

画像解析がもたらす未来はどんな感じ?

指紋認証システムは今もバリバリ早くなっているという。一応の”ゴール”は「Suicaより早く非接触でデバイスレスでっていうところですね。さっと手をかざすだけで認証される。目途は見えています」

指紋の用途と規模は広がっている。テーマパークや宿泊施設、家電量販店、コンビニなどで、各種支払いができるだけでなく、ポイントカード代わりに使えたり、パスポート代わりに本人確認に使えたりもするようになっていく。ホテルで訪日外国人がチェックイン時に指をかざすだけで本人確認ができる「プロジェクト池袋」という実証実験も、現在展開中だ。

池袋の『サンシャインシティプリンスホテル』に宿泊する訪日外国人は、フロントの専用端末で指紋とパスポート情報、クレジットカード情報を登録することで、以降、指紋をID代わりに使えることになる。しかも、ホテル近辺の一部の『ヤマダ電機』や『タイムズ』でも、指紋をクレジットカード代わりにした決済も展開されている。

財布もカードもいらなくなる社会が近づいている! ・・・・・・が、逆に言えば、財布もカードも持てなくなるのだ。イタリアの高級ブランドの押し出しの強いかっこいい財布で威張れることもなくなれば、支払いの際にステイタスを感じさせる色合いのクレジットカードを誇示することもできなくなる。全部指紋でOKなのだから。

「そうなんですよね。そういう声はよく聞きます(笑)。でもたとえば、高級ブランド店の顧客の方とかは、もう入店時に認証しておいて、好きなアイテムを選んだら、そもそも”お金を払う”という工程すらなく、”じゃあ、また””ありがとうございました!”なんてやりとりだけで去っていく・・・・・・みたいなのって、むしろかっこいいかもしれませんよね(笑)」

かつて久田さんの財布はキャッシュカード、クレジットカードのみならず各種ポイントカードなどでパンパン。友だちも同様。肥大化しているケースが多かった。そしてわりと「落とすタイプで・・・・・・(笑)」。指紋による決済は、自身にも周囲にも幸せをもたらすものだった。今、財布は、市販のなかでも最薄。もはや持たないことも普通。そんな時はスマホとカードだけでだいたい事足りる

広がるのは指紋だけではない。顔認証や声認証も。そして用途は決済や本人確認だけではない。

「たとえば、人の体型や動きを読み取って、何年後にどの箇所に故障がでるか。腰や肩が痛くなるかどうかという、未病のためのソリューションなども考えています。人間は体型や動きによって特性が出るので、それを解析する、ということも研究中です。こうしたヘルスケアの領域だけじゃなく、スポーツ、アパレル、自動車の領域でも・・・・・・」

それらと画像解析、生体認証がどう組み合わさるのか、なにが生み出されるのか、まったくイメージがわかない。が、そこはどうやら新たなイノベーションらしく、まだ一切話せないとのこと。

バリバリ研究開発が進んでいる一方で、今の久田さんの仕事は海外事業の立ち上げがほとんどだ。「去年の終わりぐらいから、国内はみんなにお任せしつつ、楽しんでやってます。やっぱり僕、なにか新しいほうに行かないとモチベーションが維持されない人間なので(笑)」

関連リンク

Liquid
訪日外国人向け実証実験「プロジェクト池袋」

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「iPhone 7」でiPhoneライフが大きく変わる!?

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2016年9月8日午前2時(日本時間)、米アップル社はサンフランシスコで発表会を開催し、iPhoneシリーズの最新作「iPhone 7 / 7 Plus」を発表した。

新しいiPhoneで何が変わるのか気になる人も多いはず。そこで、新しいiPhone 7 / 7 Plusは、これまでのiPhoneと何がどう違うのか、ポイントを整理します!

1.ついに「防水」対応に。雨の日でも心置きなく使える!

他のスマートフォンにあってiPhoneになかった「防水」「防塵」についに対応! わざわざ防水ケースやジッパー付きバッグに入れる必要なし。水回りや屋外での作業が多い人や、ランニングやアウトドアが趣味の人は、雨の日でも心置きなく使えます。過去に水没させた経験のある人も、これなら安心。

2.もう財布は要らない!? iPhoneがIC乗車券や電子マネーになる!

こちらもビッグニュース。iPhone 7 / 7 PlusはついにFeliCa対応に! これはどういうことかというと、iPhoneで電車に乗ったり、買い物したりできるようになるってこと。もう財布やカード収納型スマホケースは要らなくなるかも!?

3.カメラ機能が大幅進化。驚くほどキレイな写真がより簡単に!

もともとカメラ機能に定評のあるiPhone。iPhone 7 / 7 Plusではその機能がさらに進化! 画素数は1200万画素を維持しつつ、従来よりも明るいレンズ(F1.8)や、4色のフラッシュ用LEDを搭載しているので、暗いところでもより明るく自然な写真を手軽に撮れるようになった。

iPhone 7 Plusに関しては、デュアルレンズ(望遠用と広角用の2つのレンズ)を搭載。また、これまでのiPhoneにはなかった光学ズーム搭載により、画質を保ったままズーム撮影できるので、子どもの運動会や発表会などで大活躍してくれそう。

さらに、ディスプレイの明るさがアップしているので、キレイな写真をよりキレイな画面で楽しめるのもうれしいポイント。

4.コードのイライラを解消。純正ワイヤレスイヤフォンも登場!

新たに追加された機能もあれば、なくなった機能も。iPhone 7 / 7 Plusではイヤフォンジャックが廃止され、付属のイヤフォンは充電ケーブルと同じLightning端子のものに変更になった。

「今までのイヤフォンは使えなくなるの!?」と思った方、ご安心ください。Lightning端子とイヤフォン端子の変換アダプタが付属しているので、そのアダプタを利用すれば、手持ちのイヤフォンを使うことができる。

そして同時発表されたワイヤレス接続の純正イヤフォン「AirPods」も要注目。コードが絡まってなかなかほどけない・・・・・・そんなイライラから開放されます。

5.大幅アップした容量は3種類。カラーバリエーションは5色!

写真や音楽を保存できる容量も大幅にアップ。「32 /128 /256GB」の3種類から選択可能に。これで「写真を撮影するのに十分な空き領域がありません」からおさらばできそう。

カラーはマットな質感の「ブラック」と光沢のある「ジェットブラック」の2色が追加され、これまでの「シルバー」「ゴールド」「ローズゴールド」を加えて計5色展開に。あなたはどれを選ぶ?

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Apple
au
au +1 collection

※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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【教えてブラックダイヤモンド! ⑥】「LINEで2回目以降の返信がきません。女子の気を引く日常トークを教えてください」(会社員/32歳/男性)

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左から「みるくす」(22歳)、「あゆゆん」(26歳)、「ぽみたん」(25歳)、「はるたむ」(22歳)

Twitter、FacebookにLINE。ケータイやスマホによるSNSコミュニケーションの悩みをちょいと黒めのギャルユニット「ブラックダイヤモンド」が一発解決!

第6回は、LINEのやりとりで、2回目以降の返信がないという、会社員KIさんからの相談。教えてくれるのはメンバーの4人。いずれも、ギャルには必須のコミュニケーション術と恋愛術に長けた選抜メンバーだ。どんな本音が飛び出すことやら・・・・・・。

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“ファーストLINE”では、なにかしら相手のいいところをほめる

――飲み会で女子とLINEを交換しても、とにかく続かないんですよ。文章が長いとしつこいと思われそうで、最初のLINEは「今日はありがとう」「おつかれさま」みたいな短いのにしてるのがマズイんですかね。

M「飲み会で知り合った直後の2行とかだと、コピペでみんなに送ってるんだろうなと思う。挨拶以外にも自分の気持ち入れるといいんじゃない? 「今日はたくさん飲んで酔っ払っちゃったけど、〇〇ちゃんは顔覚えてるよ! かわいかったし(笑)」とか。冗談っぽいけど悪い気はしない。軽い思わせぶり的な心理戦だよね。」

P「顔がそんなにかわいくなかったら服とか(笑)。なにかしら相手のいいところをほめる。」

M「私の統計上、喋りが下手な人は文章が強くてLINEがマメ。逆に喋れる人はLINEの文章は淡白。」

A「わかる。」

M「上手い人って緩急のバランスがいいよね。長めの文章のときと、スタンプだけの返事を混ぜてきて、いつのまにかこっちが「今回はどんな意味があるんだろう?」って考えちゃう。下手な人はなんかいつもダラダラ長い。一生懸命考えて書いてるんだろうなーとは思うけど、結局ときめかないんだよね。」

質問系はダメ。最初のうちは日常の報告だけでよし

――挨拶LINE以降が続かないんですよ・・・・・・。共通の友達もいないし、どんなトークをすればいいんです?

M「あとは、なんでもいいから続けることが大事。「おはよう」「おやすみ」の関係が築けたら、逆に1日空くと「あれ? 今日は連絡ないな」ってなる。こともある。」

P「起きたら送り合うっていう習慣を付ける。スタンプで返信がなかったら、そもそも縁がないってことで(笑)」

H「いつも質問系のヤツはダメ。返すのがめんどくさくなる。「今日は友達とご飯行ってくるよ」とか「今日はラーメン食べたよ」とか、日常の報告でいいよね。そうやって送ってるうちに、「あ! 私もラーメン好き」「じゃあ、今度いっしょに行こうよ」っていうデートパターンも期待できるし。やりとりを繰り返していくうちに、生活リズムや好きなものも探れるし。」

――「これ食べたよ」的な報告をしても、「知らねえよ」「勝手に食ってろよ」って思われるのが怖いです。

A「別にそれはないっしょ(笑)。食べる前でも食べたあとでも自然なタイミングで送ればいいんじゃない? 「いいなあ、お腹すいた」とか、とにかくご飯ネタは返しやすい。」

H「あとはペットとか動物ネタもかわいい。子供関係も女子が反応しやすいネタだよね。」

P「そこから恋愛に発展することもある。特になんとも思ってなかったけど、やりとりするうちに「意外といい人だなあとか、考え方しっかりしてるなあ」とか、性格も見えてくるし。」

特別講師:ブラックダイヤモンド
2012年に結成し、メディアで大注目の「強め黒ギャル」ユニット。渋谷を拠点に活動し、全国に150名以上のメンバーを擁する。オリジナル楽曲を世界112ヶ国にて配信し、フランスやアメリカでLIVEをするなど、グローバルに活動を展開。彼女達に会える、渋谷の「ガングロカフェ」は人気の観光スポット。そんな彼女達の映画初出演となる作品「黒い暴動」が新宿シネマカリテ他にて上映中!!

中途半端な面白ネタは「イチかバチか」の危ない賭け

――オトコの心情的に相手の気を引くために最初から「面白いLINEを送らなきゃ」って思っちゃうんですよね。その日あった面白いことを盛り込むとか。

H「面白ネタが好きな子もいるからいいと思うけど、そういうのに興味がない子も多い。」

A「中途半端な面白ネタは、こっちも困るよね。どうやって返そうって。とりあえずスタンプだけで終わらせちゃったりとか。」

M「面白センスが合ってたらいいけど、合ってなかったら最悪だよね。返信するこっちの身にもなってみろって思う。大体スルーするけど(笑)最初から面白ネタを送るのはイチかバチかになっちゃうから危険だよね。上手い人は、会話のなかでちょうどこっちの緊張がほぐれてくるタイミングで放り込んでくる。あとやり取りの終わり際とか。」

――じゃあ、いい感じになって次はデートに誘いたいという時の自然な流れは?

P「日常会話からフツーに「ここ行きたいよね」「ああ、じゃあ今度行こうよ」っていうのでいいんじゃない?」

A「自分が行きたいところを先に書いて「どうかな?」みたいな。」

M「普段のやりとりで仲良くなってれば、食べ物屋でも音楽フェスでも興味を引く誘いだったら全然デートもアリ。質問ばっかりの人はウザイけど、会話のなかでこっちの好きなものとか場所をリサーチしておいて、しばらくしてからなんかのきっかけで自然に「そういえば、●●すきだったよね。今度一緒に行こう」とか言われると、こっちの好きな場所を覚えててくれたことと、スマートな誘い方にグラッとしちゃうかも(笑)

――たしかに、緩急のバランスを取って、日常的にLINEを送り合う関係を築くというテクニックは説得力がありますよね。その後はやりとりしていくなかで相手のことを探りつつチャンスを逃さない、と。はい、調子に乗った面白ネタは当分控えます・・・・・・。

T&S的 LINEの日常的会話の基本はこれだ!

①  まずは日々のスタンプで関係性を築く
②  質問系はダメ、ご飯ネタは返しやすい
③  中途半端な面白ネタはリスクが高い

関連リンク

Black Diamond公式Twitter
ガングロカフェ公式サイト
映画「黒い暴動」

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【教えてブラックダイヤモンド! ③】「36歳の男です。この歳でもLINEのスタンプって使っていいんですか?」(会社員/36歳/男性)

一緒にTOEICで高得点を目指せ! 会話で育てるAIロボット

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子どものころ、未来の世界を描いた映画やアニメに登場する、友達のようにコミュニケーションがとれるロボットを見て、心踊らせた人は多いだろう。現在、形状や性能は違えど、「ロボットと暮らす」「ロボットと働く」ことが、もはや珍しいことではなくなった。

全自動の掃除機や、コミュニケーションを楽しむコンパニオンロボットなど、その種類は多岐にわたるが、なかでも人工知能(Artificial Intelligence=AI)を搭載したロボット開発の発展は目まぐるしく、注目されている事業のひとつだ。その流れは世界各国で起きており、新製品や新技術を発表する場も拡大している。

なかでも、毎年アメリカで開催される「SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)」の「アクセラレーター・コンペティション」において、470以上の参加企業のなかから、アメリカ生まれ、日本育ちのAIを搭載したロボットがファイナリストに選出された。「アクセラレーター・コンペティション」は、TwitterやSiriなども、世界的なサービスに成長するきっかけになったといわれているイベントだ。

ユーザーの趣味思考や表情をキャッチして”友だちのように”会話するロボット

世界が注目するそのロボットは、アメリカに拠点を置く人工知能開発スタートアップ、AKA LLCが発表した小型ロボット「Musio」だ。機械学習の専門家と、自然言語研究家の共同開発によって生まれ、AIを搭載している。Musioは最先端の人工知能技術による会話エンジンと感情エンジンを搭載しており、人間のように見る、聞く、考える、感じる、話すことができるのが特徴だ。自ら考え、友だちのような自然なコミュニケーションができるという。

たとえば、日常的な会話を通じて、ユーザーの好きな食べ物や趣味などの会話内容を学習し、オリジナルの Musio に成長させていくことができる。まさに、友だちのようにコミュニケーションを楽しむことができるロボットなのだ。

Musio は500万種類以上の感情を、コミュニケーションを通じて少しずつ変化させ、表現することができる

英語学習ロボットとして展開

またMusioは、英語学習ロボットとしての活躍も期待されている。勉強方法は大きく分けてふたつ。ひとつは会話に基づく学習のため、リスニングやその場に応じたスピーキングの練習などを通じて、自然な英語力を身につけられる英会話学習。

もうひとつは、レベルや目的にあった教材を使用して勉強を行う、専用教材による英語学習だ。英会話が苦手な方や、子ども向けの教材、TOEICやビジネス英語対策の教材まで、幅広いユーザーを対象としており、家族での使用も可能。さらに、誤った発音や文法表現に反応し、間違いを正してくれるといった機能も。学習成果はアプリが記録し、ユーザーのレベルを把握することも可能という。

「人と話すのは恥ずかしい」「英会話教室に通う時間がない」などで、英会話学習へのハードルが高いと感じてしまう人もいるだろう。Musioなら、気軽に話せる優秀なパートナーとして、自宅で最適な学習環境を得ることができるのだ。

AIロボットと人間の共存に向けて

こうした独自のAIを搭載し、コミュニケーションをとるごとに賢くなる小さな相棒は、私たちの生活にどのような影響をもたらしてくれるのか。今後の展開について、AKAマーケティング担当の大岩さんにお話をうかがった。

「いちばん重要なのは、AIを搭載したロボットが、人間の心のよりどころとなれる存在に成長していくことだと考えています。人間と共存し、現在よりも便利で、快適な生活を提供できるようになるうえ、経験や思考、感情までもシェアすることのできる、”新しい友達のかたち”をつくっていきたいと考えています」

そうしたことの実現に向けて、2017年には、IoTデバイスやインターネットサービスの連携、日本語対応の開発などを進め、家庭生活をさまざまな面からサポートする、ホームアシスタントロボットとしての機能を拡大。Musioが家庭内にある家電や各種センサーと連携し、ユーザーはMusioを介してそれらを遠隔・音声操作できるようにもなるという。

さらに、人工知能技術を活用し、連携デバイスから収集したデータを分析・学習することで、ユーザーにとって最適な家庭環境を自動調整したり、生活スタイルに関するアドバイスを行うといった機能も構築する予定。

また、英語教育の現場である学校や塾での授業、企業内英語学習への導入も計画中。実際に、同志社中学校や、学習塾の成基学園への導入予定があり、英語授業における教育効果の実証実験も進めているという。

同志社中学校のオープンデイに来た小学生がMusioを体験

一家に1Musio

2016年に高島屋にて開催された、約100体のロボットが一堂に揃う「暮らしとロボット展」では、世界初となるオフライン店舗での事前予約を実施。家族連れの来場客から好評の声が多くあがったとか。販売前にもかかわらず、注目を集めているMusio。今後の活躍に期待しよう。

関連リンク

Musio
Musio (Facebookページ)

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使いこなしてる? 「今この瞬間のオススメアプリ」をオススメしてくれる、Androidの「Nearby」機能

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位置情報を使った斬新なサービス

Googleが2016年にリリースしたAndroidの新機能「Nearby」。Android端末の位置情報をもとに、今いる場所で役立つアプリやウェブサイトを提示するものだ。・・・・・・と言われても、それのどこが便利なのか、今ひとつピンとこない。

位置情報をもとに、近所にあるレストランやショップを紹介するアプリなどはずいぶん前からあるし、iPhoneでもアプリを推薦する機能はあった。位置情報を使ったレコメンド機能自体は、そんなに目新しい技術ではない。では一体、なにが違うのか?

Nearbyの真の新しさは、膨大なAndroid用アプリのなかから、「ここで使ったらスゲー便利だよ」というアプリを提示する点だ。この場合は、「ここで」がミソだ。Nearbyの「ここで」は30メートル以内の範囲となる。なぜなら、それがNearby機能とコンビネーションするために必要なビーコンの電波の到達範囲だからだ。つまり、Nearbyはビーコンからの情報をもとに、アプリやサイトをあなたに紹介するのだ。

出かけた先で楽しみ尽くすためのアプリを紹介

では、そのビーコンは誰が設置するものなのか。それは企業だったり、商店だったり、美術館だったり、野球場だったり、つまり、特定のアプリを提供したいと考えている人たちである。実際に数々のサービスがスタートしているアメリカの実例を紹介しよう。

たとえば、空港に行ってユナイテッド航空のカウンターにやって来ると、Nearbyがユナイテッド航空のアプリを紹介してくれる。こいつをインストールすれば、ユナイテッド航空の機内で上映される映画やテレビ番組を搭乗前のゲートで視聴できるようになる。

アメリカの空港でユナイテッド航空のカウンターに行くと、Nearbyが「ユナイテッド航空のアプリがありますよ」と、左の画面のように通知してくれる。タップすると右のようなインストール画面へと変わる

また、ロサンゼルスの美術館「The Broad」に入館すると、オーディオツアーのアプリが自動的にNearbyで紹介される。ダウンロードすれば、展示を見ながら説明がスマホで聞けるというわけだ。

ロサンゼルスの美術館「The Brroad」に入館すると、Nearbyがオススメしてくれるアプリがこれだ

はたまた、ノートルダム大学のキャンパスに足を踏み入れると、Nearbyが紹介してくれるアプリをインストールすれば、周辺の重要施設を紹介するバーチャルツアーが楽しめる。

――という具合だ。つまり、出かけていったその場所を楽しみ、利用するのに欠かせないアプリサービスが、Nearbyによって提供される。私たちは事前にこのアプリをインストールしておく必要はないし、そもそもアプリのあるかないかを調べる必要もないのだ。これを便利と言わずになんと言う。

続々スタートするNearbyサービス

こういったNearbyを使ったサービスはまだまだ多くはないが、今後、日本でも続々とスタートするはずだ。そのうち、ある場所に行けば、その空間を利用したゲームアプリがNearbyされて、それで見ず知らずの人たちとチームプレイができたり、あるいはショッピングモールに行けば、ショップ紹介や商品検索だけでなく、クジ引きもできるアプリがNearbyされたりと、とにかくさまざまな可能性が考えられる。

Nearbyを利用するうえでユーザーがやることはほとんどない。設定でBluetoothと位置情報、そして「付近のおすすめ情報」をオンにするだけ。あとは街中を歩いているだけで、情報がプッシュされてくる。あなたは画面に表示される通知で興味を持ったらタップすればいい。そう、たったこれだけ。

Nearby機能はユーザーよりも、むしろサービス提供側のメリットが大きいかもしれない。企業はお金をかけてオリジナルアプリを開発・公開しても、存在を知られていなければダウンロードされることがない。「今、ここで使わないともったいないアプリがあるんです!」とNearbyを通してユーザーにアピールできるなら、これほど効果的なPRはないだろう。

ちなみに、この機能は簡単にオン/オフができるので、「歩いているだけで大量の通知を受けてしまいそうで、そんなのイヤだ」という人も心配はご無用。なお、NearbyはAndroid 5.0以降に対応している。

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Nearby(Google アカウント ヘルプ)

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チェックしとけば、明日のスターがいち早くわかる! 「音楽系SNS」

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海外系は楽曲のレベル高し

音楽系SNSが花盛りだ。文字どおり、音楽好きが集まるSNSだが、その中身は千差万別。老舗の「My Space」がアメリカでサービスを始めたのは、ネットの世界でははるか昔といってもよい2003年。追ってドイツ生まれの「SoundCloud」が一般ユーザー向けにサービスを本格化されたのが2010年ごろ。

どちらも、プロやプロを目指すアマチュアが投稿した楽曲を聴いて、気に入ったら「Like」をクリックしたり、会員同士でワイワイオシャベリするというのが基本スタイル。特に、スターたちもたくさん登録メンバーになっている「My Space」はメジャー感たっぷりで、会員間のメールやブログを介した交流の活発さが際立つ。

メジャー感たっぷりの老舗「MySpace」。言語が英語だけなのが惜しい

一方の「SoundCloud」は、オシャベリよりも聴くほうがメインだ。音楽が大好きで、いつも新しい誰か、新しいなにかを探している人には最高のハンティング・フィールドだ。自分の好みのアーティストを発見し、友達に教えて共有したり、「コレクション」フォルダーに入れてお気に入りアーティストを文字どおりコレクションしたり。もともと、プロのミュージシャンたちの音楽データの共有システムとしてスタートしただけに、投稿されている楽曲はすべてレベル高し。

「SoundCloud」は楽曲のレベルも高くて音楽好きにはたまらないSNS。上は世界的アーティスト、ビョークのDJセットのページ。スーパースターのDJが聴けるのは、「SoundCloud」ならではだ

日本系はほのぼの素人系

この先行する「My Space」や「SoundCloud」をお手本に、日本で音楽系SNSが続々と誕生し始めたのは、ここ数年のことだ。日本系の特徴は、いい意味での素人っぽさ、つまりアマチュアリズムだ。

たとえば、「OKMusic」は、メジャーな楽曲の試聴もできるので、それらを聴きながらコメントを書いて、みんなでリアルタイムに盛り上がる。こういうところは「My Space」などと同じだ。

もちろん、アーティスト登録をすると誰でも楽曲を投稿できるのだが、海外系と違うのは、投稿主がプロを目指しているアーティストというよりも、「息子と2人でデュエットしました」とか「ジブリが好きなのでピアノで演奏してみました」といった、「歌う(演奏する)のが好きだから聞いてほしい」的な、一般人が多いところだ。

そういう「素人のど自慢」的な日本の音楽系SNSのなかで、最近、特に中高生を中心とした若い世代に絶大な人気を誇るのが「nana」だ。ほかの音楽系SNSと違うのは、コラボレーションという機能。

これは、誰かがカラオケを作って投稿したら、そのカラオケに乗せてほかの誰かが歌って投稿できるというもの。投稿の敷居が思いっきり低いのだ。

「nana」はアプリをインストールして利用する。ホーム画面には最新の投稿曲が、「見つける」のページでは、自分がコラボして歌うための「伴奏リスト」が表示される

こちらの画面は、コラボの投稿画面。廣野ノブユキさんの「ジェリー」という曲をYui×サッティー☆さんが歌っている

100万回再生がきっかけでCDデビューも

もう少しわかりやすく説明しよう。たとえば、あなたが作詞作曲した曲があり、それを「nana」に投稿したとする。同時に、伴奏だけのもの、つまりカラオケも投稿する。それを聴いた見も知らぬ誰かさんがあなたの曲を気に入り、あなたの投稿したカラオケに乗せてあなたの曲を歌い、またそれを投稿する。

スゴイのは、この歌の録音が「nana」のアプリをインストールしたスマホだけでできてしまうこと。しかも、このアプリでエコーなんかもかけられちゃう。特別な機材は不要なのだ。

いろんな人が自作曲を歌ってくれるのは素敵なことだし、それがもとでプロデビューができたりなんてことがあるかもしれない。実際、「nana」で100万回以上再生されたのがきっかけで、プロデビューした人がいる。

廣野ノブユキさんというアーティストで、金融機関で働きながら週末はストリートミュージシャンとして活動していた方。「nana」に自作の楽曲を投稿したところ、再生&コラボレーションが殺到で大人気となったという次第。まるで「素人のど自慢」でグランプリを取って歌手デビューするというシンデレラストーリーのインターネット版だ。音楽系SNS出身の大スターが現れる日もそう遠くはなさそうだ。

「nana」での人気からメジャーデビューを果たした廣野ノブユキさんの公式サイト

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nana
廣野ノブユキ公式サイト

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【通信×防災④】災害時の情報収集に使えるTwitter活用術

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災害時、いざというときにはどう対応すればいいのか・・・・・・?

この連載では、今や最も身近な存在といえるスマホやケータイを使って災害時にできることや、SNSやアプリの活用術など、災害時に役立つ【通信×防災】の情報をお伝えしよう。

連載第4回は、140文字のつぶやきで情報を発信するTwitterの活用法だ。

Twitterの強みは、リアルタイムでの情報ゲット

Twitterの特徴は、非常にオープンなことだ。非公開設定がされていないアカウントであれば、フォローしていなくても誰でも簡単につぶやきを閲覧・検索することができる。そんなTwitterの特徴を生かせば、災害時にはクイックに情報収集ができる。それも公に発信されるニュースだけではなく、現地でまさにいま起きていることをリアルタイムに知ることができるのだ。

たとえば、「コンビニなどが自主的に行っている支援」や「避難所やトイレとして開放されているビルや建物」など、ニュースでは流れないようなローカルな情報がTwitter上のタイムラインには流れてくる。Twitterは個人が情報を発信できるので、場合によっては報道機関よりも早く、生の情報を入手できることもあるのだ。リツイートすればさらに拡散し、友人とも情報共有がしやすい。

また、東日本大震災以降は、自治体もTwitterで防災情報などの発信を積極的に行っている。災害時には、地域に密着した情報をスピーディーにつぶやいているので、普段からフォローしておくといいだろう。

熊本県合志市は熊本地震の際にいち早くTwitterで情報提供を行った

「#」を使えば必要な情報を効率的に入手できる

情報を検索しやすいのもTwitterの特徴だ。キーワードで検索すると、該当したつぶやきを見ることができるし、あるキーワードに関する情報検索をするときは、「#(ハッシュタグ)」を利用すると効率的だ。同じ「#」が付けられた投稿は、まとめて閲覧ができる

熊本地震に関連するツイートをまとめて見たければ「#熊本地震」で検索

もしも、Twitterを使って救援要請を行う場合は「#救助」を覚えておこう。災害時にTwitterの活用法やライフラインの情報などを届けてくれる「Twitter Lifeline」では、Twitterで緊急救助を求める場合、「#救助」とともに要請内容、写真、住所または位置情報など、具体的かつ正確な情報をつけることを推奨している。

救助が完了したら、報告ツイートするとともに、救援要請ツイートを削除することも忘れずに

地元の消防署や警察などが定期的にTwitterで「#救助」を検索している可能性もあるし、ツイートを見た人の連絡によって助けがくることもあるので、上記の方法を覚えておこう。

Twitterでのデマを見極めて正しい情報を入手する

公式アカウントをフォローすることも、災害情報を入手するのに効果的だ。首相官邸や消防庁のアカウントは災害情報を、防衛省のアカウントは災害活動情報を発信している。自宅のある自治体やその地域の報道機関などのアカウントをフォローしておけば、現地の情報も入手できる。

このときに気をつけたいのが、誤った情報やデマだ。手っ取り早く真贋を見極めるには、Twitterの認証済みアカウントかどうかを確認すること。認証済みアカウントならば、個人でも比較的、信頼度が高い情報を発信していると思っていいだろう。

このブルーのチェックマークが認証済みマーク

もし、認証済みアカウントでない場合は、当該ツイートを見るだけでなく、前後のツイートも読み込んで、整合性があるかを確認したい。また、ツイート内容や写真が本当に正しいかどうか自信が持てなければ、Google検索やGoogle画像検索を利用して、写真や文章を調べるといい。同じような写真や文章がまったく別のところから引用されているようなら、疑ってかかった方がいいだろう。

リツイートするときは必ず公式リツイートを行う

最後にお伝えしたいのが、災害時におけるリツイートの作法。避難場所の開設や支援物資の提供場所など、災害時の有益な情報はリツイートされることで多くの人に役立つ。その反面、善意でリツイートした情報がデマだった場合、混乱が広がる危険性がある。もし、あなたが有益な災害情報などをリツイートして拡散する場合は、コピペを応用した非公式リツイートではなく、必ず公式リツイートを行って欲しい。

災害時は情報が刻一刻と変化するので、状況が変わったときに古い情報が拡散されたままだと、誤った情報が出まわることになる。そんなとき、公式リツイートは連動されるから、元のツイートが削除されると削除されるが、非公式リツイートはそのまま残ってしまうのだ。また、公式リツイートであれば、発信者以外は文章を変更できないので、正確な情報が伝わりやすいというメリットもある。

Twitterは、災害時の迅速な情報収集に威力を発揮する反面、使い方によってはデマに惑わされたり、自らがデマの拡散に荷担してしまったりする可能性がある。普段から正しい使い方を意識しておくことが、震災時の有益な活用につながると覚えておこう。

【通信×防災④】のまとめ

1.Twitterはリアルタイムの情報を入手できる
2.「#」を使って必要な情報を入手できる
3.認証済みアカウントは信頼度が高い
4.リツイートするなら公式リツイートを

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Twitter
高橋暁子公式サイト
au災害対策
災害用伝言ダイヤル(171)
災害用伝言板サービス 災害時・緊急時対策 au

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【紳士のSNS講座】 第10回 中秋の名月なので、「風流なオレ」をお自慢する

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2016年も二百十日もことなく過ぎ、朝夕ごとに過ごしやすさも増してまいりました。皆様いかがお過ごしでしょうか? 「お自慢の秋」到来です。

古くから日本では、「秋」と組み合わせることで、おおむねなんでも話題として成立することになっています。「食欲」とか「芸術」とか「スポーツ」とか。普段そういうジャンルに全然コミットしていなくても「秋だから」という理由だけで、突如、グルメネタやアートネタやスポーツネタのポストが許されます。チョイ乗りするだけで歳時記になるという絶好の季節。それゆえの「お自慢の秋」でもあるわけです。

さて、今回のテーマは「風流なオレ」。

季節の移ろいに心を配り、過去と未来にひとり思いを馳せる。侘び寂びとシックな世界観を前面に出しながら、裏地のように真逆なポピュラリティをチラ見せするところがポイントです。

■ポイント① 誰にでも訪れるライフイベントで、風流自慢を巧妙にカモフラージュ

「お誕生日」は、SNS上では最強のスペシャルデイです。2回しか会ったことない人や、小学校以来会っていない幼なじみからもお祝いコメントが届きます。お礼をするのは当然。つまりこれは完全に必然性のある投稿になるわけです。

お誕生日だから「人生のマイルストーン」についても語れます。でも「子どもふたりと大型犬」「タワーマンションの最上階」など、具体的な夢を書くのはご法度です。数値目標を掲げることは自分の首を絞めますし、チラッとしか読まない人には「がんばってるのかどうか」の熱がはっきり伝わりません。具体的な夢はチラシの裏にコッソリ書きましょう。

こういうときは「がんばる」「走り続ける」などの、ポジティブでシンプルで成果が見えないフレーズが効果的。誰も評価のしようがないですし、見た瞬間、「がんばっている感」が伝わります。フレーズが思い浮かばない人は、1990年代あたりの歌謡曲から拝借してください。20代なら少しアレンジして、「感謝」「尊敬」といったフレーズを散りばめるのもフレッシュ感が伝わり、好感が持てます。2000年あたりのポップスを参考にするといいでしょう。

■ポイント② 季節の移ろい、というレアアイテムを取り上げる

グルメやファッションや最新スポットなどとSNSとの親和性の高さは、もうおなじみです。多くの人々が「アップするために食べる/買う/行く」ことになっています。しかしながら、季節の移ろいは、いわば”出会い”です。SNSのために、中秋の名月は出てくれているわけではありません。

だから、実は尊い。アップするだけで、煩悩に満ちたほかの投稿との差別化が図れます。

しかも「中秋の名月なう」で終わるのではなく、月を思索のスイッチにしているところが相当に雅です。花鳥風月を解する回路は日本人のDNAに刷り込まれています。「月見てもの想うオレ」は、見た人に伝染します。同じ月を見ていれば、彼らもその瞬間、なにかを想い、あなたに共感するでしょう。それだけで飯テロならぬ「風流テロ」の成就です。いいね! です。

■ポイント③ 風流とは真逆の要素のチラ見せで、魅力に厚みを持たせる

「もの想うオレ」のお自慢は、単に中秋の名月から入って日本酒とともに空を見上げる・・・・・・という構成でも成立します。ただ、いささか地味。今回は、「誕生日」「前日がパーティ」という全部乗せの状況があったので、これを余すことなく活用しましょう。

「今は月を見てひとり思索にふけるオレだけど、イケてる仲間たちとの宴も楽しんだあとのことなんだよね!」という、目まいがするほどの強いコントラスト。

実は、「ひとり×月×思索」は、誰にでも達成できるイージーミッションです。お月見を起点としながらも、数々の人脈とおしゃれティックなアイテムたちを散りばめたのが、この投稿者のニクイところ。そこには「スペシャルな自分感」が、これでもかと香り立っています。

このあと「マリアットホテルの佐藤さん」や「D3の山田」や「講論社 髙木女史」からのコメントがつき、やり取りが行われることになるでしょう。そこでさらに展開される会話や場所への言及までを含めて、はじめてこのお自慢は完成したといえます。

もちろん、見込んでいた人からの反応がない、という不慮の事故に遭うリスクもあります。指名ポストしてからのスルーほど恥ずかしいものはありません。即座にメッセンジャーなどの別ルートでコメントを督促しましょう。臆することはありません。優雅な白鳥も、水面下では必至に水をかいているものです。

講師:武田篤典

何気ない所作のなかにある「モテ」を顕在化し、好評を博した『スマートモテリーマン講座』著者。SNSなど各種コミュニケーションにおける礼儀作法を研究する「武田流万(よろず)礼法」家元。

※武田篤典先生のSNS講座が読めるのは「TIME&SPACE」だけ! 「#紳士SNS」で応援しよう!

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iPhone 7でふたたび注目を浴びる「FeliCa(フェリカ)」とは?

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iPhone 7の登場で、いよいよiPhoneも「おサイフケータイ®」のように使える日がやって来た。そこで話題になっているのが「FeliCa(フェリカ)」だ。聞いたことはあるけど、うまく説明できない方も多いのではないだろうか。「FeliCa」とはなにかをわかりやすくまとめてみよう。

あなたはすでにFeliCaを使っている

すでにあなたはそのFeliCaのテクノロジーの恩恵にあずかっているかもしれない。

あなたはSuicaをお使いだろうか? あるいはnanacoやWAON、楽天Edyなどはどうだろう? 多くの人はこれら交通系ICカードや、電子マネーを利用しているはずだ。

実は、これらはすべてFeliCaを搭載している。FaliCaとは、「ICカードと瞬時に情報をやりとりする無線通信システム」のことなのだ。そのFeliCaのテクノロジーが今回、iPhone 7に組み込まれたという。

FeliCa対応の電子マネーとは?

では、FeliCaの通信技術システムが搭載されている電子マネーには、どんな種類があるのだろうか?
【FeliCa対応の主な電子マネー】※2016年9月現在

・Suica、PASMO、ICOCAなどの交通系ICカード
・楽天Edy、nanaco、WAONなどのプリペイド型電子マネー
・QUICPay(クイックペイ)、iDなどの後払い方式の電子マネー

そのほかにも、空港での搭乗手続きや自動販売機、さらには会員証やポイントカードまで、さまざまな場所でFeliCa対応のICカードを利用することができる。

iPhone 7では、Suica以外の交通系ICカードやプリペイド型の電子マネーなど、まだ対応していないものもあるが、今後、どんどんアップデートしてくれることを期待しよう。

電車に乗るのも、コンビニでおにぎりを買うのも、スーパーで野菜とチーズを買うのも、愛車にガソリンを入れるのも、ドラッグストアでかぜ薬を買うのも、FeliCa対応端末ひとつあればとても便利。いずれ外出するときに財布やクレジットカードは不要になる時がくるだろう。

(写真提供・ソニー株式会社)

FeliCaって一体、どんな仕組み?

では、FeliCaとは一体、どんな仕組みになっているのだろうか?

たとえばSuicaなどの交通系ICカードの中にはアンテナと超小型のICチップが入っている。一方、リーダー/ライターと呼ばれる、ICカードを読み取る側の自動改札機にはコントロールボードという電子回路基板とアンテナが入っている。そして、「かざすICカード」と、「かざされるリーダー/ライター」との間で、無線通信が行われるのだ。

ICカードとリーダー/ライターの仕組み。(図版提供・ソニー株式会社)

ICカードには電源が入っていない。電気がないのにどうやって通信するのかというと、電源につながっているリーダー/ライターからたえず出ている電磁波に秘密がある。リーダー/ライターにICカードがかざされると、つまり至近距離をICカードが通過すると、放射されている電磁波がICカード内に電気を発生させる。そしてICカードは一瞬だけ、生命力を取り戻し、通信をするのだ。

わずか0.1秒のピッで通信完了

FeliCaのすごいところは、ICカード内のデータ(あなたの名前や使用履歴など)を読み取り、そしてICカードに再び書き込むのに必要な時間がわずか0.1秒だということ。瞬時にピッとデータ交換がおこなわれ、しかも情報が盗まれたり間違われたりしないように、いちいち暗号化もされるという超高速の仕事っぷり。そして、読み取られたあなたの情報はリーダー/ライターが接続しているネットワークを通じて、遠くにあるデータベースとやりとりされる。

FeliCaでは、約0.1秒という超高速で、上の図の①〜③までが行われる。(図版提供・ソニー株式会社)

これで、FeliCaの仕組みはなんとなくわかっていただけただろうか。おサイフケータイ®は、このFeliCaのICカードの中に入っているICチップを、携帯端末の中に組み込んだものだ。だから、Suicaのように、自動改札機の上に携帯端末をかざすだけで電車に乗れるのである。

FeliCaの意味は「至福をもたらすカード」

FeliCaの誕生は古く、最初に採用されたのが香港の交通系ICカードの八達通(オクトパスとも呼ぶ)で、1997年のことだ。Suicaの登場はその4年後の2001年。その後は日本とアジアを中心に、FeliCa方式のICカードは爆発的な勢いで普及していった。ちなみにFeliCaの名前の由来だが、「至福や歓喜」を意味する「Felicity=フェリシティ」と「Card=カード」を合わせたものだという。「至福をもたらすカード」というわけだ。

世界初のFeliCa式ICカードである香港の「八達通(オクトパス)」。申年の2016年向け限定カードだ

FeliCaのように、10cmほどの短い距離間で無線通信しあうテクノロジーをNFC(近距離無線通信技術)と呼ぶのだが、ヨーロッパやアメリカではFeliCaとは別のMifare(マイフェア)という方式が主流だ。これまでのiPhoneのApplePay機能もこのMifareのみの対応だった。だが、このFeliCaのテクノロジーが、iPhone 7の内部に組み込まれたいま、FeliCa方式が普及している日本でもApplePayがとても便利に使えるようになった。まさに「フェリシティ(至福)」の到来だ。

関連リンク

FeliCa
au おサイフケータイ®
Apple Pay

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しないことで得をする!? 「ながらスマホ運転」の習慣を止めさせるユニークなアプリが登場!

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「歩きスマホ」「ながらスマホ」は日本だけの問題じゃない

世界中で「事故を誘発する」として問題になっている「歩きスマホ」。韓国では2016年6月に「歩きスマホ禁止」の標識を発表したことが話題になった。

歩きスマホよりもさらに重大な事故につながるのが、「ながらスマホ運転」だ。脳は2つのことを同時に行うと、一方への注意がおろそかになる。運転中のスマホ操作は、当然ながら注意力の低下を招き、歩行者や周りのクルマなど周囲の状況の変化を見落としやすくなる。

危険な「ながらスマホ運転」なのだが、アメリカの大手通信事業者であるAT&Tの調査結果では、運転中のながらスマホ経験者はなんと70%を超えている。AT&Tでは、こうした事態への対策として、「it can wait」キャンペーンを展開しており、ボタンひとつでSNSにシェアできる「私は運転中にながらスマホをしません」宣言はすでに1,000万人を超えた。また、ながらスマホ防止に、運転中にSNSや電話の着信音を抑止して「現在運転中」という自動返信を行う「ドライブモードアプリ」を提供している。

ゲーム感覚で楽しめる「ながらスマホ運転」防止アプリが登場

そんななか、日本では、「ながらスマホ運転」を防止するスマホ用アプリ「Driving BARISTA」が発表された。このアプリは「交通事故死亡者数13年間連続ワースト」という不名誉記録更新中の愛知県が官民一体となって進める「AICHI 脱ワーストプロジェクト」をきっかけとして、トヨタとKDDIが開発したものだ。

2016年秋の交通安全週間に合わせ、トヨタ、コメダ珈琲店、KDDIの3社が、このアプリを活用した交通安全の取り組みを実施する。

トヨタとKDDIが共同開発した「ながらスマホ運転」防止アプリ「Driving BARISTA」

「Driving BARISTA」は、「愛知県内で、ながらスマホをしない運転に成功すると、走行距離がポイントのようなかたちで積算されていき、一定距離がたまるとコメダ珈琲店のブレンドコーヒーまたはアイスコーヒーと交換できるクーポンを入手できる」というもの。「”ながらスマホをしないことで得をする”経験を繰り返すことで、ながらスマホをしない習慣を身につける」という、心理学における「正の強化」をゲーミフィケーションに応用したアプリだ。

「ながらスマホをしていない」状態の判定は、クルマの移動中、スマホが裏返しのままで置かれているかどうかをジャイロで判定する。運転開始時にアプリを起動して「SAFE DRIVE START」ボタンを押し、スマホを裏返しに置いたところから計測がスタート。

移動距離はGPSで測定され、距離が加算されるごとに画面上のコーヒーカップにコーヒーが少しずつ貯まっていく。クルマを降りる時には忘れずに「STOP DRIVING」ボタンを押そう。チャレンジ成功となり、そこまでに走った距離が記録される。

うっかり運転中にスマホを表にした状態で移動してしまうと、「ながらスマホ運転」をしたとみなされ、その回のチャレンジは失敗し、距離は加算されない。

なお、GPSにより愛知県外に出たと判定されるとポイントの加算は中断されるが、愛知県内に戻ってきた時点で再開される。

どの携帯電話会社のユーザーも利用可能! 安全運転で美味しいコーヒーを楽しもう

ドライブのたびにアプリを起動し、コーヒーカップを満たしていくと、愛知県内の移動距離が累積で100kmになった時にコメダ珈琲店のコーヒー無料引換券がもらえる。

愛知県内最寄りのコメダ珈琲店でアプリ画面を提示し、ゆっくりとおいしいコーヒーを楽しもう。

なお、2回目以降のクーポンは、ながらスマホをしない走行が200kmごとに1枚発行される。また、au以外のスマートフォンを利用しているユーザーも利用可能だ。
「ながらスマホ運転」事故防止プロジェクト期間

Driving BARISTA

※愛知県内でご利用いただけるアプリです。OSにより、ダウンロード期間や走行距離蓄積期間が異なる場合があります。

ダウンロードはこちらから
iPhone
Android
アプリダウンロード開始日:2016年9月20日から
走行距離蓄積期間:2016年9月20日から2016年10月6日まで
コーヒー引換期間:2016年9月20日から2016年10月31日まで

日本でもPokemon GOのサービス開始に伴い、ながらスマホ運転による人身事故が1カ月で11件も発生するなど、大きな問題となっている。自動車メーカーと飲食、携帯電話会社が一緒に「安全にクルマとスマホを使う社会」を実現するための今回の取り組みに注目だ。

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Driving BARISTA
KDDIプレスリリース:日本初の試み、「ながらスマホ運転」事故防止プロジェクト始動
AICHI 脱ワーストプロジェクト
トヨタ | WHAT WOWS YOU.
コメダ珈琲店

※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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日本が抱える、橋やトンネルなどの老朽化問題。ドローンが解決するかも?

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橋や工場プラント、送電線などの設備は時間が経つと劣化する。わが国では高度成長期に建設された社会インフラの点検整備が重要な課題となっている。安全安心のためには定期的な検査が欠かせない。とはいえ、人間が目視で検査するのは手間もかかるし危険も伴う。そんな時のためのドローン活用が始まっている。

ウエアラブル小型映像配信装置を活用した、ウエアラブル伝送のソリューションに実績があるテレインフォが提供するのは、ドローンで撮影中の映像を遠隔地でリアルタイムに確認しながら、現地のドローンカメラマンに撮影指示が出せるサービスだ。熟練技術者が自分で現地に赴く代わりに、ドローンが「目」となって見たい場所を撮影する。

撮影は4Kの高解像度で行い、映像と音声の伝送はLTE回線を使って低解像度で行うことで、確実にリアルタイムに届ける。検査技師は伝送される映像を見ながら、撮影角度や寄り引きなどの映像についてドローンカメラマンに指示を出せる。撮影した4K空撮映像は作業終了後にファイルサーバー経由や媒体の輸送で迅速に納品する。

テレインフォの遠隔施設保守点検サービス

検査のポイントとなる部分をさまざまな角度から撮影したり、異常を感じた部分を重点的に撮影して、あとから高解像度の映像で確認することで、熟練技術者が現場で目視確認する時と同様のクオリティの検査が効率的に可能になる。

人間の目視に頼らない試みも始まっている。東芝とアルパインは、2017年度中の実用化を目指して、ドローンによる電力インフラ事業者向け巡視・点検システムを開発している。ドローンで撮影した映像を画像処理や機械学習により分析することで、送電線のアーク痕(落雷などで放電した痕跡)など、要点検箇所を発見する。両社は今後、国内外のさまざまな社会インフラ設備・施設にドローンを活用した巡視・点検サービス事業展開を目指している。

さらにドローンが自動運転されるようになれば、完全に無人でのインフラ検査も可能になるだろう。インフラ老朽化と熟練技術者の不足というふたつの大きな課題を解決する技術となりそうだ。

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【ICT×MUSIC #7】 iPhoneでネットにはまり、15歳でニコ動に投稿した「DAOKO」のニコ動発、メジャーデビューのストーリー

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こんにちは、J-WAVEの小松です! インターネットや通信と音楽の新しい可能性を探る連載企画「ICT×MUSIC」。第7回は、ミレニアル世代を代表する現在19歳の女性ラップシンガー、DAOKOをピックアップ。気になるデジタル事情を探ったインタビューも必読です!

1997年生まれのデジタルネイティブ世代が奏でるサウンド

さて、”ゆとり”だなんだと言われるようになって早何年。今年はとうとうドラマでも取り上げられ話題となりましたが、ゆとり世代ブームはピークな雰囲気。◯◯世代や、◯◯女、◯◯オタのように何なんでも括ってしまうのはあまり好きではないですが、みなさんは”ミレニアル世代“をご存知でしょうか? 極めて若いうちからインターネットに慣れ親しみ、SNSなどを利用した情報の収集・発信を得意とする、いわゆるデジタルネイティブと呼ばれる世代です。これまでに当連載で取り上げてきた岡崎体育Uruぼくのりりっくのぼうよみもこの世代です。そして、今回ピックアップするDAOKOもまさに”ミレニアルアーティスト”。

まずは、昨年3月の高校卒業と同時にメジャーデビューを果たした1stアルバム『DAOKO』の1曲、「水星」をお聴きください。こちらもまたミレニアル世代を代表するトラックメイカー、tofubeatsの代表曲のリアレンジとして大きな話題となり、J-WAVEでもよくオンエアされました。

気鋭のトラックメイカーたちと制作した、懐かしくも新しいキラキラしたビートに合わせたアンニュイなラップが特徴的で、一度聴いたら頭から離れなくなる、DAOKOというジャンルがあるんじゃないかというほど特徴的なサウンド。「水星」のMVのオープニングには、ひとり暗い部屋でパソコンに向かう少女が登場しますが、まさに実生活を映し出しているんじゃないかという印象を感じさせます。そんな、どこか気怠そうな雰囲気を持つDAOKOのミレニアル世代を象徴するような経歴をひも解いていきましょう。

中学3年生でニコ動に投稿し、瞬く間に注目を集める

1997年東京生まれ。15歳でニコニコ動画に投稿した楽曲をきっかけに音楽制作を開始し、16歳のときにはm-floと一緒に楽曲「IRONY」を発表。2014年には中島哲也監督の映画『渇き。』にて「Fog」が挿入歌に。さらに、同年、庵野秀明率いるスタジオカラーによる短編映像シリーズ、日本アニメ(ーター)見本市の作品にて音楽プロデューサー、TeddyLoidと音楽を担当し、世界各国から注目を集める。

うーーん、すごい!!! 中学生のときにインターネットにハマり、自身のラップをニコニコ動画に投稿したことをきっかけに、2015年にはメジャーデビューまで辿りついてしまった・・・・・・。これまた興味を惹かれたのが、インディーズ時代から一貫しての顔出しNG! えっ、なんで!!! となるわけですが、高校生ということでいろいろな事情があったようです。そして待ちに待った2015年10月リリースの1stシングル「ShibuyaK」のMVにて初の顔出し! 目鼻立ちのくっきりした美少女、歳の割にオトナっぽい……と男目線はこれぐらいにして、楽曲はというとDAOKO節はそのままに、アッパーな1曲。顔出しとともにこれまでとは印象が違って聴こえ&見えます。こちらもJ-WAVEでたくさんオンエアされたので聴いた方も多いと信じていますが、まだの方はぜひこちらも。

ニューシングルを経て、また新たなステージへ

先日9月14日には、これまでとは違ったDAOKO節が炸裂している2ndシングル「もしも僕らがGAME の主役で / ダイスキ with TeddyLoid / BANG!」をリリースし、同作を引っさげてのツアー「DAOKO 2016″青色主義”TOUR」の真っただ中! 見た目はまだ10代の少女ながらも、まさにアーティストとしてその才能を遺憾なく発揮しています。ミレニアルな一面とともに、ぜひとも彼女の魅力に引き込まれてください!!

DAOKOにT&S編集部が特別インタビュー!

インターネットとの出合い

――DAOKOさんがインターネットと出合ったのはいつごろですか?

「小学校4年生ぐらいのときかな。家にあったパソコンに興味があって、教えてもらった感じでした。キーボードの打ち方とかも。最初はポケモン交換掲示板を見たり、好きだったゲーム絡みのサイトを見たりしていました。ほかには、面白フラッシュサイトが学校でちょっと流行っていて、ときどき見ていたくらいで。あとは、そのあとニコニコ動画も出てきて、なんだこれは! と思って興味津々でしたね」

――携帯電話を初めて持ったのはいつごろですか?

「インターネットに触れたのと同じ時期で、小学校4年生とか5年生のころですね。ガラケーでインターネットは制限されていたので、使うといってもメールと電話くらいで。同級生はまだ持っていない子も多かったので、基本は両親との連絡ツールでした。中学1年生のときにiPhoneを持つようになってから、ネットの制限がなくなって、けっこうネットの世界にハマっていく感じでしたね」

ニコニコ動画でラップを投稿

――音楽制作を始めたきっかけは?

中学2年生くらいのときにニコニコ動画にのめり込んで、音楽だけじゃなく、いろんなコンテンツをひたすら見続けていたんです。そこで、素人が歌ったり、踊ったり、投稿できることを知って、そのタイミングでラップと出合ったんです」

――なぜラップだったんですか?

「そのときは、いまほど女性ラッパーさんがいなかったですし、まだジャンルが確立される前で。ちょうど自分自身が、インターネットを通じてもっと評価されたい承認欲求みたいなものがあったので、ちょうどいいところを見つけたというか。女性ラッパーとして投稿したら注目してもらえるかなという野望もあって、中学3年生のときに投稿し始めました

――それまで音楽制作はしていたんですか?

「いや、ニコニコ動画に投稿するまではなにもしていなかったです。ニコニコ動画では、トラックメイカーの方がラップをのせるための楽曲、トラックをつくってアップしていて、ラッパーは気に入ったトラックをダウンロードしてラップをのせていて。ラップを録音したり、ちょっとしたアレンジなどのやり方は、インターネットで調べて見よう見まねで勉強していました

――音楽活動でのiPhoneやインターネット活用法を教えてください。

「日々、歩きながらとかノートパソコンを持ち歩いていないときの瞬発的なアイデアとかはiPhoneのメモ帳に書くことが多いです。Cloud機能でパソコンと同期されるので便利だし。ノートに書くのもいいんですけど、iPhoneでフリック入力するほうが早くてラクです。ほかには、LINEはそれなりに仕事や友だちとのやり取りで活用していたり、ベタにTwitterとInstagramと、たまにFacebookを更新したり・・・・・・ですかね。流れに乗って『ポケモンGO』もやっていたんですけど、ちょっと限界を感じてから全然進められてなくて、両親のほうがハマっていつの間にかレベルを抜かされていましたね(笑)」

DAOKOさんのスマホのホーム画面。Twitter、InstagramといったSNSに加えて、よくお買い物しているメルカリや最近お気に入りのブランド、STUSSY WOMENが並ぶ。さらにDJアプリのdjayや、1分間のビートを計測できるBPM、音楽アプリのTS PLAYなど、アーティストならではのアプリも多数

――よくチェックするお気に入りのサイトはありますか?

「最近は洋服を買いに行く時間がないので、メルカリをチェックして買っています。インターネット古着屋さん感覚というか。宅配ポストに入れておいてもらえて気楽なのがいいですね」

2ndシングルからツアー、そして今後の展望

――2ndシングル「もしも僕らがGAME の主役で / ダイスキ with TeddyLoid / BANG!」が9月14日にリリースされましたが、今作はDAOKOさんにとってどんな作品になりましたか?

「インディーズのときは歌詞を書いたり、楽曲を制作したり、といったことが自分自身との対話みたいな感覚だったんですけど、前作のメジャー1stシングルで初めて顔を出して、そこから外の世界というか、聴いてくれるみなさんを意識するようになったんです。それまでは一緒に楽しめるとか、一緒に踊れるといった曲を作りたいという発想すらなかったんですけど、実際に聴いてくれている人がいるっていうことに気づけてから、みなさんと一緒に踊ってみたいなって気持ちが湧いてきて。だから、今作ではダンスミュージックを意識して制作したので、踊れて、体感して楽しめる音楽になっているんじゃないかな。そういう点では、私自身、新しいステージに進むことができたような気がしています」

――ツアータイトルが「DAOKO 2016″青色主義”TOUR」ですが、”青色主義”という言葉にはどんな意味が込められているんですか?

「もともと青が好きで、DAOKOではブルーをテーマカラーにしているんです。海が好きとか、空が好きとか、そういった理由に加えて、炎は見た目は赤いけど、中心のいちばん温度が高いところは青色なんですよね。だから、メラメラ燃えているというより見た目は冷ややかな印象かもしれないけど、実は誰よりも熱く燃えている、というのが自分らしいなと思ってブルーを自分自身のアイコンカラーに。そして今回”青色”をツアータイトルにしたのは、ライブにきてくれるみんな=青色主義との距離をよりいっそう縮めるために。そんな一緒に楽しめるツアーにしたくて、タイトルを”青色主義”にしました」

――今後の活動の構想は?

「2ndシングルでは、聴いてくれる人たちとの距離感を縮めるような踊れる音楽で、一緒にライブでも体感できる曲にしたかったんです。それはポップアーティストを目指すこととイコールでもあって、ポップアイコンになるというか。そもそもアンダーグラウンド出身だし、本人自体もポップとはほど遠い人間だと思うので、そういう人間がポップアイコンになっていくっていうのが逆説的というか、存在自体が矛盾している感じが面白いなと思って(笑)。そういうポップアイコンになれたらいいなと考えています」

DAOKO

1997年生まれ、東京都出身。ラップシンガー。15歳のときにニコニコ動画へ投稿した楽曲で注目を集め、2012年にネット発のインディーレーベルから1stアルバム『HYPER GIRL-向こう側の女の子-』をリリース。顔を隠した状態での活動を行う。そして、2015年3月にTOY’S FACTORYよりアルバム『DAOKO』にてメジャーデビュー。同年10月に1stシングル「ShibuyaK / さみしいかみさま」をリリースするタイミングで顔を公開し、大きな注目を集める。今年9月、待望の2ndシングル「もしも僕らがGAME の主役で / ダイスキ with TeddyLoid / BANG!」をリリースしたほか、大阪、東京、韓国を巡るワンマンツアーも開催。

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【イノベーターズ】「連絡帳をデジタル化し、次世代の子育て環境を創る男」森脇潤一

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今回は「保育園の連絡帳」をICTを使ってイノベートした男の話である。

実際に子どもを通わせてるお母さんたちには言わずもがなだけど、保育園の連絡帳ってすごく大事なのである。ごはんとか睡眠時間とか体温とか、ちっちゃい子の場合はミルクの量とか、子どもたちが自分で言えないところをフォローして記入して、毎日、保育園に伝えるもの。保育士さんはそれを読み込み、それぞれの状況を把握し、その日になにをしたかを記して打ち返すことになる。

ただの連絡手段ではない。子どもを育て、見守るという同じ目的を持つ、保護者と保育士さんとの信頼関係を育み、心の交流が生まれる場所でもある。

「連絡帳って、子供の成長過程のつぶさな記録なんです」と森脇潤一さんは語る。リクルートマーケティングパートナーズ勤務、所属は事業開発グループという、会社員である。

「そんな貴重な情報を”連絡帳”というモノに依存させていると、そこに閉ざされて完結してしまう。デジタル情報に開放したら情報が輝きを増す。みんなに届くし、保育士さんの業務負荷も下がって、みんなハッピーになるんじゃないかと思ったんです。」

それが「kidsly」。保育園の連絡帳や、子どもたちの毎日の登園・降園をICTによって管理し家庭と園とでコミュニケーションを行う仕組みである。

サービスのパンフレットには導入をした保育園関係者から寄せられた事例がたくさん掲載されている

スマートフォンを使って、家庭からは子どもの毎朝の状態を素早く連絡できるし、保育士さんからのスタンプや写真入りのレスも届く。子どもを保育園に送ってから、通勤途中でも連絡帳を提出することができるのである。

ログは毎日残っていくし、保護者は最大4人まで登録できるから、お父さんはもちろん、離れて暮らすおじいちゃん・おばあちゃんも孫の毎日の様子をつぶさに知ることができる。

こんなふうに説明していても、誰もが幸せになれるようなポイントしか見えない。できてしまえば「あって当たり前」としか思えないサービスなのだ。森脇さんは「よく言われます」なんて笑っているけれど、ローンチしたのは、実は2016年の3月。

「kidsly」がこの世に生み出されるには、森脇さんの10年以上の社会人としての経験が必要だった。

機会格差をなくす世の中を目指すため退職

森脇さんがキャリアをスタートさせたのは広告代理店。仕事の内容は、原則的に、どこかの会社のつくったサービスや商品を世に広めていくというもの。それはそうだ。だって広告代理店、なんだもの。でもそこに、少なからず葛藤もあったという。手掛けるものの中には、100%全力で世間にオススメしたいとは思えないものもあった。クチコミサイトなどで悪し様に罵られているのを見つけて、腹立たしい思いをすることもあった。その書き込みが言いがかりならばまだしも、真理をついていた時ほどどうしようもなかった。改善点は分かっていても、自分たちではどうしようもないから。

「それで、どんどん”自分でなにかやってみたい”という思いが募っていったんです。方向としては、なんとなく”社会貢献したい””若者たちの格差をなくすことの手助けをしたい”というのがありました」

話を聞いてみると、ぼんやりではなく、割と明確にあった。

森脇さんの出身は岡山県。地方公務員の父と保育士の母というごく普通の一般家庭の長男。高校1年の時の先生が「岡山だけで人生終えんな!」と、とにかく東京行きを勧めるアツい人で、気付いたら本気の上京モードになっていた。ひとつ問題なのは岡山県には国立岡山大学という水準の高い国立大学がある。森脇さんをはじめ、志ある岡山の若者の大半は、東京の大学を目指す学力はあるものの、金銭的な面から岡大を目指すケースが多かったという。

「もちろん悪いとは言いません。東京みたいに選択肢がたくさんある中から決めるならいいんです。”そこしかない”という状況でそこに行くのとは意味が違うんですよね」

森脇さん自身は東京の大学に進み、奨学金とバイトを組み合わせて乗り切った。でも、うまく東京へ漕ぎ出せない郷里の後輩たちへの思いが常にあった。

「そんなときに格安のオンライン予備校サービス『受験サプリ』(現・スタディサプリ)に触れる機会があったんです。ここにビジネスを通して教育の機会格差をなくしていこう、っていう崇高なビジョンを見たんですね。このサービスを、リクルートマーケティングパートナーズの山口文洋がつくったということで、ここなら自分の理念を実践できるかもと思って転職したんです」

もりわき じゅんいち
岡山県生まれ。新聞社の報道局のアルバイトと奨学金で、学費・生活費などすべてを自力で捻出。自身、地域格差による教育機会の不平等さを身をもって経験しているため、若者たちに注ぐ視線は優しい。大学卒業後、広告代理店に入社。営業職を担当。34歳の時、リクルートマーケティングパートナーズ(RMP)に入社。現社長・山口文洋氏のもとで働きたかったため、「職種は問わずとにかくRMPに入りたい」と希望したそう。経済産業省主催「グローバル起業家等育成プログラム2016」メンバー

リクルートマーケティングパートナーズには、「New RING」という新規事業提案制度がある。1981年から始まり、リクルートグループ会社の社員なら誰でも参加できる仕組みで、「受験サプリ」はもとより、「ゼクシィ」「ホットペッパー」「R25」などもここから生まれてきた。

森脇さんは、そもそもこの「New RING」を目指して転職してきた。2013年、34歳の時。全社的に起業・独立のマインドが高いといわれるリクルートでは、むしろ「会社を辞める年齢」に近かった。

折しも「New RING」が各リクルートグループ会社ごとで開催されるようになり「NewRING byRMP」へとリニューアルされたのが、森脇さん入社の翌年。この制度の流れを簡単に説明すると、
①企画書ベースの締め切りが8月の中旬。9月に一次審査の結果発表があり、
②そこから予算が下りてメンバーを集め、年内3カ月かけてビジネスプランを磨く。
③翌年1月に経営陣にプレゼンテーション。
④承認を得たら4月に組織化され、あとはローンチを目指す。

2013年11月に入社した森脇さんは、しかし、「New RING」構想を練るわけでもなく、とにかく3カ月間は配属された部署で仕事に没頭した。

「翌年、絶対自分の企画を通したいと思っていたので、まず社内での成果を出したかったんです。どこの馬の骨か分からないヤツに事業は任せたくないだろうから、1〜3月クォーターのMVPをとにかく獲ろうと。”森脇ってヤツは仕事ができるぞ”と、認められた上で企画を提出したかったんです。この時期は、たぶん人生でいちばん働いたかもしれない(笑)」

さて、結果はMVPを獲得。入社初年度の最初のクォーターでMVPを獲得するのは、非常に稀なケースなのだという。しかも、このタイミングで山口さんが森脇さんの直属の上司になるというミラクル。

知人の不幸を経て、気づいたこと

その後、森脇さんの「kidsly」は「New RING」でグランプリを獲得する。ただMVPのあと、いかにして「kidsly」が生まれるに至ったか。それには悲しいエピソードをひとつ紹介しなくてはならない。森脇さんの知人の死である。

「2014年の5月のことです。彼女が重い病気であることは、その2年ほど前から聞いていました。人生を精いっぱい全うしようという姿勢から学ぶことはたくさんあると思っていましたが、同世代の友達がどんどん衰弱していくのがショックでした。それで彼女が亡くなった時に、あるノートが出てきたと旦那さんから知らされたんです。すごく細かく記されたお子さんの記録でした。電話でしゃべったんですけど、旦那さん、泣きながら言ったんです。”後悔してる”って。彼も仕事の忙しい人で、十分に家庭を顧みることができていなかったと。そのノートを見たら、どれだけ奥さんがお子さんに愛情を注いでいたかがすごく伝わってきたそうで、”彼女が生きているうちにこのノートの存在を知っていたら、少しでも早く家に帰るとか、少しでも家事を分担するとか。もっともっと自分にやれたことがあったかもしれない”って」

どこの家庭にも同じような課題はあるのではないか。森脇さんはそう思ったと言う。家庭という小さな共同体なのに、お父さんは子どもの日常をよく知らない。子育てへの思いを夫婦で共有できていない。そして、当たり前のこととして生活しているから、それに特別な価値があることに気づいていないのではないか、と。

「だからなんとかしたい、と思ったんです。最初は家族でのそうした問題のソリューションとして、家族SNSみたいなものを想像しました。子どもとの1日の出来事をママからパパに送る・・・・・・みたいなことを考えてみたんですけど、忙しい中での新たな余計な負荷になるだろうから、現実的ではない。誰の手も煩わせずに、子どもの情報を両親と共有する手立てはないかと」

それが保育園の連絡帳だったのだ。ちなみに、森脇さんに子どもはいない。で、周囲のママたちからヒアリングし、構想を語り、賛同を得て、連絡帳をかき集めてアイデアをブラッシュアップ。2014年8月に提出した企画書には、今のサービスのほぼすべてが書かれていたという。ただ一点を除いて。

「実はITを導入することに関して、保育士さんがネガティブに捉えることが多かったんです」

250以上の保育園に行って分かったこと

同時にヒアリングした保育園から「手書きではなくなる」ということを問題視されたのだ。

「多分に情緒的な問題なんです。手書きの文化は変えられないという意見が本当に多くて。最初起案した資料では、保育士さんの手書き連絡帳をスキャンして親に送るというふうにしていました。OCR(光学式文字読み取り技術)とか、ショットノート(手書きのメモを専用アプリで撮影し、書いたままデジタル化できるキングジムのノート)の仕組みを使ってなんとか生かそうとしていて、当時は協業先として、そこも模索していました」

ビジネスプランを磨く段階で、森脇さんは毎週山口さんから、プランの進め方について30分間相談する機会を持ってもらっていた。この時には、企画段階よりもはるかに多くの保育園を回るのだが、手書きの文化が乗り越えられないということがますます明らかになってきていた。頭を抱える森脇さんに山口さんは言ったという。

「でもそれって、イノベーションじゃないよな。プロダクトとしてイケてない気がする」

で、森脇さん、韓国に飛んだ。

「実は韓国の保育園ではすでに連絡帳のデジタル化が進んでいたんです。実際に使われている世界を見ることで、子供たちの成長過程の情報をデジタルに置き換える意味と、保育士さんの業務負荷がいかに軽減できるかを実感できました。このサービスを導入後の変化に関しても、自分の言葉でロジカルに語れるようになったんです」

そして今年3月にローンチ。保育園への営業はすごくスムーズに進行し、鎌倉女子大学との共同プロジェクトもスタート。サービスローンチからわずか3か月で100園に導入が決定した。経済産業省と内閣府が主催するキッズデザイン賞の審査員長特別賞も受賞した。森脇さん自身も今、取材対象として引っ張りだこである。

「『kidsly』の”保育園の事務作業と連絡帳をICTで便利にし、情報共有できるようになった”という価値は表層的なものでしかありません。実はもっと深い部分での本質的価値があります。保育園に子どもを預けるお母さんは不安です。それを払拭するには、お子さんが毎日楽しい環境にあって成長していることを実感すること。一方、保育士さんは、お母さんに対して保育園での日常をきちんと伝えていくことができれば、お母さんからの信頼と感謝が得られ、自身の仕事へのモチベーションが上がる。自分たちの仕事がいかに多くの人に幸せを届けているかを承認してもらえる。『kidsly』はこうしたサイクルを生み出すところに本質的な価値があるんだと、みんなで確認し合っています」

組織化からのローンチまでの約1年間、250以上の保育園を見て、声を聞いてきた森脇さんは「日本全国、都市でも地方でも、保育園で行われている営みは変わらないと実感している」と言う。

「『kidsly』はあくまで、保育士さんとお母さんのコミュニケーションを深めるための手段なんですよ。それを啓発していきたい。実際導入していただくと、保育士さんとお母さんのコミュニケーションが深まるし、お互いに仲良くなれた、なんて声をよく聞きます。それから、お子さんとお父さんの関係が変わった・・・・・・って。”最近どうなの?”じゃなくて、”お遊戯みたよ、上手くいってる?”って声をかけられるのって、大きいと思いません?」

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